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ロミオとジュリエットは幸せだったのかな。

そんなの本当のところは分かる訳がないのに、いつまでも考えている。





重厚な革の表紙で誂えられた1冊の本を抱いて窓の外を眺める。20階から見える景色なんて他の高層ビルと空ばかりで、面白いものでも無いけれど。

飲もうと思った紅茶はもうすっかり冷め切っていて、1人肩を落とす。

その時扉が開く音がして、ベッドのある部屋を出てリビングへ向かった。おやつを買いに行っていた両親が戻ったみたいだ。



「ただいまA。何をしてたところ?」


「これ、読んでた」


「あらあら。本当にAはそれが大好きね」


「新しいのを買おうか?もうボロボロだろう」


「大丈夫。これがいいの」



そうか?なんて言いながら、父の大きな手が頭を撫でていく。母は愛おしいという感情を隠さずに私を抱き締めた。



「美味しいマカロンを買ってきたの。一緒に食べましょうね」


「うん。ありがとう」


「ああ、紅茶が冷めてるじゃないか。淹れ直してくるよ」


「ありがとう、パパ」



今日は私の誕生日。事故からきっちり10年。

毎年誕生日にはこのホテルに泊まって豪華な食事をして、美味しいケーキを食べて過ごすのがお決まり。

今年は連休に被ったから3連休をホテルで過ごすことになった。

友人達とアフタヌーンティーを食べてきたのにマカロンも食べるなんて、なんだか太ってしまいそう。



「A、さっきの話だけど」


「さっき?」


「糸師さんのことよ。倒れたって、どうして?お友達と一緒にいたはずでしょう?」



向かいのソファから手を伸ばして私の手を包み込み、母は真剣な顔で尋ねる。素直に話したいことでは無いから誤魔化すように笑顔を浮かべた。



「別れた後だったの。百合香さんの部屋から戻る途中で」


「ただ倒れたなんて、そんな訳ないでしょう?何があったか話してみて?」


「ブランケットを落としちゃって、それを拾おうとしたらバランスを崩しちゃったの。それだけだよ」


「本当に…?」



頬に手が添えられて、真っ直ぐに瞳を覗き込まれる。頷き、目を逸らすことはせずに真っ直ぐ見つめ返した。

やがて母の方が折れ、ゆっくりと手が離れる。



「それならいいの。これからは気をつけるのよ」


「うん。心配かけてごめんなさい」


「いいの。でも今度から、終わったら迎えに行くことにするから連絡を入れて。分かった?」


「…はい、ママ」


ぐ、と首が締め付けられた気がした。


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瑠璃烏(プロフ) - エリザベス女王さん» そんな風に言って頂けて嬉しいです!玲王は考察の余地を残そうと思って最後まではっきりとしたことは敢えて書いてないので、ご自由にご想像頂ければと思います😌見て頂きありがとうございました! (4月7日 14時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - どんな気持ちで助けていたのか、、、考えても考えてもまとまりません!冴くんがただひたすらにかっこよくてずっと三途の川を泳いでました!本当に最高でした!!ありがとうございました😭 (4月7日 11時) (レス) id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - 最高でした、、、‼︎主様の前作を読んでそこのリンクから飛んだのですが安定の最高さでした❤️駆け落ち系の話を見たことがなくて不安だったのですが初めてがこんな素晴らしい作品だだだ私は明日やらでも降るのかもしれません笑玲王くんはいったい (4月7日 11時) (レス) @page44 id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ニアさん» コメントありがとうございます!素敵な考察までして頂けて嬉しいです!2人とも本当にいいキャラですよね! (4月2日 12時) (レス) @page43 id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
ニア - この作品を読んでから2人をめっちゃ好きになりました!最後の切ない感じが最高でした…御影くん実は夢主ちゃんのこと好きだったんじゃないか…だから微笑んだんじゃないかとか色々考えていたら切なさときゅんきゅんが止まりません…ありがとうございました!! (4月2日 10時) (レス) id: b8d76587d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年3月6日 11時

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