対処 ページ6
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煙が空気に溶けるように塵と化したのを確認した直後、また背後から襲い掛かってくる呪霊を振り向きざまに切り裂いた。
もう何体目か分からない醜い化け物を祓って祓って祓って、もはやキリが無い。
先程一色くんの電話があってから、約1時間。
深い山の中にある民家を訪ねに山を登った時、片道約45分掛かった。そこで呪霊に襲われてから、湖へ向かうべく山を降りながら呪霊を祓って。
知らない間に1時間も経っていた事に驚く暇もなく山道を駆け降りる。
伊地知くんに応援を要請したとはいえここへ来るのに3時間半かかっているのだ。
まだまだ来るとは思えない。
呪霊が一旦いなくなった事を確認して内ポケットへ手を伸ばし、折り返して電話を掛ける。
何度かコール音が鳴って、まさかと最悪の想定をし始めた頃、漸く電話の繋がる音がした。
「一色くん、今何処にいますか!?」
『湖…っの筈ですけど、多分呪霊の生得領域の中です!何で電話繋がってんのかも分かんないし…!』
「下手な行動は取らないようにして下さい。今そちらへ向かっています。湖のどの辺りか検討はつきますか?」
『湖の…中心、に見えます』
幾分か落ち着いた様子の一色くんにもう一度下手な行動は取らないようにと念押しして、近付いてくる気配のある呪霊に構えた。
ーーー
「い、一色さんその髪っ…!」
「あー、水でスプレー流れちゃってさ。気にしないで。それより聖、今度こそ絶対手ぇ離すなよ」
「あっ、は、はい!」
立ち上がって聖に手を差し出し、引っ張り起こして辺りを見回す。
時間は経っている筈なのに真昼間のように雲一つない快晴。ここは湖の中心…に浮かんだ小さな浮島。
体を廻る呪力が減っているのを感じて、家族と過ごす夢を見させられてる間に吸い取られたのだと悟る。
「聖、俺と逸れた後どうなってた?」
「昔よく閉じ籠ってた押し入れの中…にいた、と思う」
「誰か出て来た?」
「ううん。あそこに居たって事は小2以前だと思うんだけど、お母さんは出てこなかったや。あの人の顔なんて覚えてないから当然かも」
俺とは随分違うなと思ってもう一つ尋ねようとした瞬間。
「! 聖、絶対手ぇ離すなよ!」
「は、はいっ」
呪霊のお出ましだ____
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年6月15日 14時