暴露 ページ1
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「はぁっ…ケホッ、ケホッ、は……」
「要くん、大丈夫かい？あぁもう…こんな時に限って時間が掛かるなんて、」
頑張ってくれタクシーさん、なんて的外れな応援をする淳司さんの焦った声が聞こえて、また咳を吐き出す。
嫌な予感
それは僕を焦らせて、余計な心労を体に蓄積していった。
ストレスがそのまま体調に出てしまうこの体質は、もう一生付き合っていくしか無いんだけど。
それなら付き合っていくしか無いなりに対処法だってある。
でも、この不調は定期的に訪れた。
原因は分かっているのだ。
この��嫌な予感��がよくするようになったのは、兄が高専に入ってから。
___ごめん兄さん、僕ね、本当はあの化け物、見えてるんだよ。
でも言ったら心配掛けると思ったんだ。迷惑だって掛かるに決まってたんだ。
言おう言おうと思ってずっと言わなかった。言えなかった。
でも、もう仕方ないよね
「淳司さん、電話ッ、ケホッ…していい？」
「ええっ？い、良いけど何で…？」
「おねがい、早くっ」
「え、ええっと、誰にかな？」
わたわたと携帯を取り出す淳司さんに、迷わず告げた。
「五条、悟さんに…！」
ーーー
久し振りに生徒4人全員と顔を合わせて話せた事で、気分の良い朝だった。
可愛い生徒達のお陰で詰め込まれた任務もホイホイ終わらせて、お昼頃に高専へ一度戻って。
ふんふんと鼻歌を歌いながらチョコレートを口へ放り込んだ時、スマホが音を立てて震えた。
「はい五条」
『あっ…ご、五条くん！淳司だけど、要くんが君に繋いでくれって、』
酷く慌てた様子の友人の言葉にカップを混ぜる手を止めて、カチャリとスプーンを置く。
「……分かった。代わって」
『あ、ああ。要くん、はい』
『ゲホッ、ケホッ、五条、さん…？』
「ああ、僕だよ。要くん、何かあった？」
努めて明るく、少し心配を滲ませた声音で問えば、要くんはまた何度か咳き込んで苦しそうに声を絞り出した。
『にいさ、…ッ兄さんが、』
____死んじゃう！
その言葉に、気付けばカップが割れていた。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2021年6月15日 14時
