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途中で仏花やお供え物を購入し、車で約1時間かけて辿り着いたそこは冷たい墓石が並んでいる。

迷いそうなそこを真っ直ぐに燐くんのお墓まで歩き、墓石の前にしゃがみ込んで石に手を置く。



「久しぶり、燐くん。今日は雨じゃなくてよかった」



去年までは雨続きだったから。

昨日までは雨だったのだけど、今日は曇りで済んでいる。けれど梅雨の空は今にも涙を落としそうだ。

灰色にくすんだ墓石をそっと撫でる。

大切な人。愛した人。大好きだった人。



「糸師くんも来てくれたんだよ。糸師凛くん。私たち…恋人になったの」



きっと許してくれるよね。

2人並んで線香をあげ、手を合わせる。


雲がゆっくりと途切れて、隙間から日が差し込んでくる。

光の中、そっと目を閉じて、開く。



また、夏がやってくる。いつも泣きながら迎えていた夏が。

でも今年からは違う。


次の夏は____あなたがいなくても、笑って迎えるから。


だからどうか見守っていてね。



「…行こう、糸師くん」


「もういいのか」


「うん。挨拶は出来たから」



分かったと頷いた糸師くんが歩き出すその背中を追い掛ける。





ふと風が吹いて、振り向く。

晴れ間から降り注ぐ光に目が眩んだ。



優しく笑う顔が見えた気がしたけれど、それはふっと空気に解けていった。





fin.

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年1月27日 23時

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