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夏の大会が終わり、次は冬の大会へ向けて1年と2年が中心の新しいチームになる。



「Aさん」


「潔くん。どうしたの」


「今日、一緒に帰らない?」


「…いいよ」



日誌をつけながら掛けられた言葉に頷いた。その返事に潔くんは満足そうに頷き、じゃあ待ってる、と部室を出て行った。

日誌をつけ終えて着替えながら、どうしたんだろうと考える。何かしたっけな。

考え至らないまま電気を消して部室を施錠し、職員室へと鍵を返した。



「あ…お待たせ」


「お、来た。じゃあ行こっか」


「うん」



校門の前で待っていてくれた潔くんと並んで歩き出す。歩幅を合わせてくれていると気付いて少しペースを上げた。

歩きながら、恐る恐る口を開く。



「私、何かしたっけ」


「ううん。ただなんか、Aさんがまた飛び降りようとするんじゃないかって気がして」


「え…」



そんな風に思われていたのか。全然わからなかった。



「…そっか」


「うん」



お互いに口を閉じると沈黙が2人の間に落ちる。

こちらを見る視線を感じて、小さな声を出した。



「先輩が泣いてるの、聞いちゃって。ちょっと落ち込んでただけ」


「ああ…なるほど」


「悔しかった。叫び出したいくらい」


「そっか」



吐き出したら少しすっきりした気がする。ふう、と息を吐き出した私に潔くんは申し訳なさそうな顔をして言う。




「ごめん。次は勝つから」


「…絶対、とか言わないでね」


「うん。負けるかもしれないけど、でも信じてて欲しい。お願い」



大きな瞳に真っ直ぐ射抜かれると首を横に振れない。その目には不思議な強制力があった。



「…分かった」



小さく返事を返すと、彼は満足そうに笑った。


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瑠璃烏(プロフ) - さっちゃんさん» コメントありがとうございます!悪女書くの苦手で…結局いい子になっちまったです。悪女断罪系もいつか書きたいです!閲覧ありがとうございます!! (5月6日 20時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - 途中から入ってくるマネって、だいたい悪女多いからそのタイプかぁ…とか思ってたらめっちゃいい子だった!面白かったです! (5月6日 17時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!悪女を書くにはまだ修行が足りない……いつか書きたいと思ってます! (2月13日 8時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひとみちゃん、悪女かと思いきやかなりいい子で😩❤️❤️❤️人間味ある感じ?!とても好きです。。!!! (2月13日 2時) (レス) @page41 id: 31ed2e1075 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 彗さん» ありがとうございます! (2月6日 11時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年1月21日 10時

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