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夏の大会は呆気なく終わった。3-2の接戦で負けた。もう少しだったと思う。でも負けは負けで、受け入れるしかないことで。

あんなに熱心になっていた3年生達は、もうこれで引退する先輩も多い。


片付けに入ろうと思った部室の中から聞こえる啜り泣く声に、ズンと胸が重くなる。



「くっそ…!」


「引退したくねぇ〜…」


「まだやっててぇよ…」



ドアノブに掛けようとした手を引っ込めて後ずさる。片付けより先にすることは他にもあるし。

絶対優勝するんだって意気込んでいたのを覚えてる。優しい先輩に可愛がられていた潔くんも、絶対次も勝つって言っていた。

『絶対』

なんて軽い言葉だろう。あんなの希望的観測に過ぎなかったのだ。



『絶対』なんて絶対、信じられない。











『絶対、一緒に学校行こうね』



ぼんやりと天井を見上げながら頭に浮かんでくる言葉がうるさくて強く目を瞑る。

絶対、絶対って。何度も言われた言葉だ。あの鈴の音のような声で、何度も。

結局それは叶えられることなく立ち消えになったけれど。



「はあ…」



ダメだ。このままじゃまた天井を見上げて1日が終わってしまう。

溜息を吐いて起き上がり、サッカーの戦術の本を開いた。でも文字の羅列の上を視線が上滑りするだけで内容なんて頭に入ってこない。

文字が読めないのなんて今に始まったことじゃない。こういう日はいくらやっても読めないのがオチだ。

諦めて、またベッドに寝転がる。


____悔しかった。

負けたという事実が、耐えられないほど悔しかった。

悔しさなんてとっくの昔に捨てた筈の感情だ。あの胸が焼けるような感覚をまた味わうなんて思っていなかった。

先輩たちの声を思い出して鼻の奥がツンとする。まだあの人たちのサポートが出来ると思っていたのに。



「もう…っ」



小さく落とした言葉は掠れて消えた。



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瑠璃烏(プロフ) - さっちゃんさん» コメントありがとうございます!悪女書くの苦手で…結局いい子になっちまったです。悪女断罪系もいつか書きたいです!閲覧ありがとうございます!! (5月6日 20時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - 途中から入ってくるマネって、だいたい悪女多いからそのタイプかぁ…とか思ってたらめっちゃいい子だった!面白かったです! (5月6日 17時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!悪女を書くにはまだ修行が足りない……いつか書きたいと思ってます! (2月13日 8時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひとみちゃん、悪女かと思いきやかなりいい子で😩❤️❤️❤️人間味ある感じ?!とても好きです。。!!! (2月13日 2時) (レス) @page41 id: 31ed2e1075 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 彗さん» ありがとうございます! (2月6日 11時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年1月21日 10時

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