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42. ページ42

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「付き合い始めたぁ!?」


「うるさ」


「え、マジ?潔と?」


「そう言ってる」



莉奈は大袈裟に驚いて目をまん丸に見開いている。もはや失礼まであるその顔にムッとしながら鞄の中からスマホを取り出す。

数分前に来ていたホームルーム長引きそう、という報告に分かったと返事を返してスマホを仕舞い直し、固まって何かぶつぶつ言っている莉奈を置いて立ち上がった。



「じゃあ、また明日」


「いや待て待て。え、いつから?」


「先週」


「いやいやマジで何したの…?」


「Aさん!」



会話の中に飛び込んできた第三者の声に顔を上げて振り向くと、そこにはホームルームを終えたらしい潔くんが扉から手を振っていた。

それに笑顔で手を挙げ、カバンを背負い直す。



「じゃあね」


「う、うん。また明日!聞くからね!」


「はいはい」



莉奈の捕食者のような目に肩を竦めながら扉へ向かうと、潔くんは笑顔で行こうと歩き出す。テスト期間は部活が無い。

並んで歩きながら潔くんは疲れた顔を見せる。



「今日も勉強する…?」


「うん。潔くんが最低限赤点だけは回避できるよう頑張るから」


「うぅ……」



Aさんと一緒なら、なんて言ってくれるから微笑みかける。私が頑張る理由になるなら嬉しいことだ。


帰り道、あの歩道橋に差し掛かる。私が飛び降りようとしたそこに立ち止まり、なんとなく下を見下ろしてみた。

数歩前にいた潔くんがこちらを振り返る。



「行こう」


「…うん」





人生ってなんなんだろう。友人からも両親からも疎まれて、こんなにつらいのに生きていく意味ってなんだろう。

そんな風に思っていた私はもういない。

これからは、彼の隣を歩き続けたい。



差し出された手を、強く握り返した。






fin.

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瑠璃烏(プロフ) - さっちゃんさん» コメントありがとうございます!悪女書くの苦手で…結局いい子になっちまったです。悪女断罪系もいつか書きたいです!閲覧ありがとうございます!! (5月6日 20時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - 途中から入ってくるマネって、だいたい悪女多いからそのタイプかぁ…とか思ってたらめっちゃいい子だった!面白かったです! (5月6日 17時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!悪女を書くにはまだ修行が足りない……いつか書きたいと思ってます! (2月13日 8時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひとみちゃん、悪女かと思いきやかなりいい子で😩❤️❤️❤️人間味ある感じ?!とても好きです。。!!! (2月13日 2時) (レス) @page41 id: 31ed2e1075 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 彗さん» ありがとうございます! (2月6日 11時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年1月21日 10時

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