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「いってきます」
「いってらっしゃい、A」
こうして見送られて学校へ行くのなんていつぶりだろう。いや、1年半ぶりくらいか。なんだか遠い昔のことのような気がする。
ひとり暮らしの家から実家へ戻ることになった。学校への距離は伸びたけれど、今のところはいい感じだと思う。
両親は何度も私に言い聞かせた。
姉が亡くなってから、元気な私を見てどう接していいか分からなかったのだと。なんで姉は私のように元気でいられなかったのか、そう考えてしまうのだと。
でもあなたを愛してる。それだけは信じて。
まだ信じられてはいないかもしれない。でも信じたいって思えてる。それだけで及第点だろう。
「おはよう、ひとみ」
「おはよう!」
本に目を落としていたひとみが顔を上げて手を振る。その斜め後ろの自分の席に荷物を置いて、よし、と1人意気込む。
ひとみに待っていてと手を挙げて、2人の元へ歩み寄った。
「ねえ」
「な、なに?」
お互いの身を守るようにしている2人に、手を差し出した。
「今まで取ったもの、返して」
「っ…!」
「ちょ、A?何言ってるの?」
「ひとみ。待っててって言ったのに」
「答えて。まさか…そんな訳、ないよね?Aのものを盗ってたのが2人だなんて」
焦ったように笑みを浮かべて、ね?とひとみは答えを急かす。こうなるからひとみには関わらせたくなかった。ひとみにとっては良い友達だった筈だから。
でも2人は何も言わずに黙り込むから、ひとみはみるみる顔を歪めた。
「答えてよ!」
「ご…ごめん、なさい」
「なっ…!」
怒りに目を見開くひとみを抑えて、再び手を差し出す。
「別にいいけど、教科書とリボンは早く返して。困る」
「ちょっとA!そんな簡単に、」
「別に気にしてない。若さゆえの過ち的なことでしょ。まあ腹は立つけど、許せないほどじゃない」
「信じられない…!」
ひとみは私を庇うように抱き寄せて、2人を睨みつける。2人は美人に睨まれて縮こまり、目に涙を浮かべて謝った。
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瑠璃烏(プロフ) - さっちゃんさん» コメントありがとうございます!悪女書くの苦手で…結局いい子になっちまったです。悪女断罪系もいつか書きたいです!閲覧ありがとうございます!! (5月6日 20時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - 途中から入ってくるマネって、だいたい悪女多いからそのタイプかぁ…とか思ってたらめっちゃいい子だった!面白かったです! (5月6日 17時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!悪女を書くにはまだ修行が足りない……いつか書きたいと思ってます! (2月13日 8時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - ひとみちゃん、悪女かと思いきやかなりいい子で😩❤️❤️❤️人間味ある感じ?!とても好きです。。!!! (2月13日 2時) (レス) @page41 id: 31ed2e1075 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 彗さん» ありがとうございます! (2月6日 11時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年1月21日 10時