検索窓
今日:14 hit、昨日:127 hit、合計:27,803 hit

39. ページ39

.



「いってきます」


「いってらっしゃい、A」



こうして見送られて学校へ行くのなんていつぶりだろう。いや、1年半ぶりくらいか。なんだか遠い昔のことのような気がする。

ひとり暮らしの家から実家へ戻ることになった。学校への距離は伸びたけれど、今のところはいい感じだと思う。


両親は何度も私に言い聞かせた。

姉が亡くなってから、元気な私を見てどう接していいか分からなかったのだと。なんで姉は私のように元気でいられなかったのか、そう考えてしまうのだと。

でもあなたを愛してる。それだけは信じて。


まだ信じられてはいないかもしれない。でも信じたいって思えてる。それだけで及第点だろう。



「おはよう、ひとみ」


「おはよう!」



本に目を落としていたひとみが顔を上げて手を振る。その斜め後ろの自分の席に荷物を置いて、よし、と1人意気込む。

ひとみに待っていてと手を挙げて、2人の元へ歩み寄った。



「ねえ」


「な、なに?」



お互いの身を守るようにしている2人に、手を差し出した。



「今まで取ったもの、返して」


「っ…!」


「ちょ、A?何言ってるの?」


「ひとみ。待っててって言ったのに」


「答えて。まさか…そんな訳、ないよね?Aのものを盗ってたのが2人だなんて」



焦ったように笑みを浮かべて、ね?とひとみは答えを急かす。こうなるからひとみには関わらせたくなかった。ひとみにとっては良い友達だった筈だから。

でも2人は何も言わずに黙り込むから、ひとみはみるみる顔を歪めた。



「答えてよ!」


「ご…ごめん、なさい」


「なっ…!」



怒りに目を見開くひとみを抑えて、再び手を差し出す。



「別にいいけど、教科書とリボンは早く返して。困る」


「ちょっとA!そんな簡単に、」


「別に気にしてない。若さゆえの過ち的なことでしょ。まあ腹は立つけど、許せないほどじゃない」


「信じられない…!」



ひとみは私を庇うように抱き寄せて、2人を睨みつける。2人は美人に睨まれて縮こまり、目に涙を浮かべて謝った。



.

40.→←38.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (64 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
138人がお気に入り
設定タグ:ブルーロック , 潔世一
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

瑠璃烏(プロフ) - さっちゃんさん» コメントありがとうございます!悪女書くの苦手で…結局いい子になっちまったです。悪女断罪系もいつか書きたいです!閲覧ありがとうございます!! (5月6日 20時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - 途中から入ってくるマネって、だいたい悪女多いからそのタイプかぁ…とか思ってたらめっちゃいい子だった!面白かったです! (5月6日 17時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!悪女を書くにはまだ修行が足りない……いつか書きたいと思ってます! (2月13日 8時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひとみちゃん、悪女かと思いきやかなりいい子で😩❤️❤️❤️人間味ある感じ?!とても好きです。。!!! (2月13日 2時) (レス) @page41 id: 31ed2e1075 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 彗さん» ありがとうございます! (2月6日 11時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年1月21日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。