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球技大会の練習が始まって、体育の時間はサッカーをやるようになった。
マネージャーとはいえたかがマネージャー。期待されているようなことは出来ない。やっぱりボールに嫌われているみたい。
溜息を落として水筒から麦茶を呷り、ぼんやりと男子の練習風景を眺める。
「潔くん…」
体育は2クラス合同だから、クラスの違う潔くんがドリブルしているのが見えた。やっぱり周りとは一段レベルが違う。
でもこの国の中ですら彼よりも凄い人はいっぱい居て、潔世一の名前が高校サッカーの星と呼ばれるにはまだまだ足りない。
あんな風に、ただひとつのことにがむしゃらに取り組んで命を燃やすって、きっと幸せなことだ。
____羨ましいな。
眩しい姿に目を細めた。
「Aさん」
「高里くん。休憩?」
「うん。そっちも?」
うん、と頷いて顔を見上げれば、タオルで汗を拭う高里くんがいる。確か彼はドッジボールで、コートの半分を使ってボールを投げ合っていた。
「サッカーどう?」
「難しい。高里くんはサッカーじゃないんだね」
「いつもやってるし、こういう機会には他の球技もいいかなって。潔とかはサッカー1択だったみたいだけど」
「そっか」
そんな話をしている内に休憩が終わってしまって、高里くんにひらりと手を振って先生のところに集まる。
ミニゲームを回そうという話になって白線で区切られたサッカーコートに入ると、同じチームになった坂本さんに聞かれた。
「Aちゃん、高里くんと仲良いの?」
「いや…部活が一緒だから」
「あ、そっか。マネージャーになったんだよね」
「うん」
「ふうん…」
心配しなくても、高里くんとは何もないのに。妙な勘繰りをされても困るんだけどな。
そんな私たちの会話を遮るように、ゲーム開始のホイッスルが鳴った。
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瑠璃烏(プロフ) - さっちゃんさん» コメントありがとうございます!悪女書くの苦手で…結局いい子になっちまったです。悪女断罪系もいつか書きたいです!閲覧ありがとうございます!! (5月6日 20時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - 途中から入ってくるマネって、だいたい悪女多いからそのタイプかぁ…とか思ってたらめっちゃいい子だった!面白かったです! (5月6日 17時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!悪女を書くにはまだ修行が足りない……いつか書きたいと思ってます! (2月13日 8時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - ひとみちゃん、悪女かと思いきやかなりいい子で😩❤️❤️❤️人間味ある感じ?!とても好きです。。!!! (2月13日 2時) (レス) @page41 id: 31ed2e1075 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 彗さん» ありがとうございます! (2月6日 11時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年1月21日 10時