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「それじゃあ…本当にありがとうございました。とっても美味しかったです」


「いいのよぉ、また食べに来てね」


「1人暮らしじゃご飯を用意するのも大変だろう?ぜひまた来てくれると嬉しいよ」


「はい、ありがとうございます」



潔くんと一緒に靴を履いてガチャリと開かれた扉を潜って振り返り、改めて頭を下げた。

ひらひらと手を振るお2人の姿が扉に消えて、潔くんと一緒に歩き出す。別に送ってくれなくてもいいって言ったんだけど。

並んで歩きながら、潔くんは躊躇いがちに口を開く。



「なんかごめん、押しが強くて」


「全然。久しぶりに…楽しかったから」


「そっか。ならよかった」



本当に、いっそ絶望的なほど幸せな時間だった。

これから帰る冷たい家のことを思うと気分が沈みそうで、さっきまでのことを思い返す。


温かくて、優しくて、幸せで。

そんな希望なんて知らずにいたかった。こんな風に時折与えられる希望に縋るくらいなら、いっそのことドン底まで突き落として欲しい。


そんな気持ちが顔に出ないように、顔に出ても気付かれないように辺りの風景を見回す。

そんなことしている内に家の前に着いてしまって、扉に手をかけて振り返る。



「今日はありがとう。楽しかった」


「うん。また明日」


「気をつけて帰ってね」


「ありがと」



ひらりと手を振って去って行くのを見送り、なんだか重い気がする扉を引いた。











「…Aさん、なんか元気ない?」


「高里くん。…別に、そんなことないよ」


「そう?」



ならいいけど、と困ったように微笑む高里くんに悟られないよう私も口角を上げてみる。大丈夫。また潔くんと話せばこの落ち込んだ気持ちだって回復するんだから。

ジャカジャカとボトルを振ってドリンクを作っていたら背後から声を掛けられて振り向く。



「おはよ!」


「おはよう、潔くん。昨日はありがとう」


「いいって。母さんたちまた連れてきてってうるさいから、また予定が合えば来てくれると嬉しい」


「うん。ありがとうございますって伝えてくれる?」


「おう!」



アップに向かう背を見送って息を吐く。やっぱり、彼と話せば気持ちも上向いた。



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瑠璃烏(プロフ) - さっちゃんさん» コメントありがとうございます!悪女書くの苦手で…結局いい子になっちまったです。悪女断罪系もいつか書きたいです!閲覧ありがとうございます!! (5月6日 20時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - 途中から入ってくるマネって、だいたい悪女多いからそのタイプかぁ…とか思ってたらめっちゃいい子だった!面白かったです! (5月6日 17時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!悪女を書くにはまだ修行が足りない……いつか書きたいと思ってます! (2月13日 8時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひとみちゃん、悪女かと思いきやかなりいい子で😩❤️❤️❤️人間味ある感じ?!とても好きです。。!!! (2月13日 2時) (レス) @page41 id: 31ed2e1075 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 彗さん» ありがとうございます! (2月6日 11時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年1月21日 10時

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