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体重を移動しようとしたその時。
「ちょ、待って!!」
「は……?」
その声に、慌ててバランスを取り直した。その声がした方を向いてみるとそこには部活帰りらしい男子が焦った顔をしてこちらへ駆けて来るのが見えた。
呆気に取られてぼんやりする私に向かって彼は手を差し伸べる。
「お、降りて!早く!」
「え…あ、うん…」
差し伸べられた両手を取って片足ずつフェンスの上から降り立つと彼は大きく息を吐き出し、へなへなとその場に座り込んでしまった。
「よか、ったぁ〜〜…!!」
「えっと…」
誰?
明らかに場にそぐわないから聞くのはやめておいた。戸惑う私を置いて、彼は必死の形相で顔を上げて叫ぶ。
「何してんの!?あんなとこ立って…もし落ちたらっ!」
「いや…死のうかと」
「死…!?や、やめなよ!分かんないけど、よくないって!」
「はあ」
また大きく息を吐いて項垂れる彼に掴まれた両手は離されることはない。その手をそっと握り返してみたら彼はビクリとして顔を上げ、ゆっくりと立ち上がる。
「そこのコンビニ、行こう。話聞くから」
「え、あ、うん」
あれ、私いま死のうとしてたよな?
手を強く掴まれたまま腕を引かれ、すぐ近くのコンビニへと足を運んだ。
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瑠璃烏(プロフ) - さっちゃんさん» コメントありがとうございます!悪女書くの苦手で…結局いい子になっちまったです。悪女断罪系もいつか書きたいです!閲覧ありがとうございます!! (5月6日 20時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - 途中から入ってくるマネって、だいたい悪女多いからそのタイプかぁ…とか思ってたらめっちゃいい子だった!面白かったです! (5月6日 17時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!悪女を書くにはまだ修行が足りない……いつか書きたいと思ってます! (2月13日 8時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - ひとみちゃん、悪女かと思いきやかなりいい子で😩❤️❤️❤️人間味ある感じ?!とても好きです。。!!! (2月13日 2時) (レス) @page41 id: 31ed2e1075 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 彗さん» ありがとうございます! (2月6日 11時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年1月21日 10時