金曜日、貴女と。【skt】 (ページ4)

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「すっごく嬉しい！大事にするね！」

俺から受け取って、うさぎのキーホルダーを眺めるA。俺はその姿を眺めながら、やっぱり好きだと再確認した。学校からこの病院は結構距離があって、時間がとてもかかる。それを見越してか、彼女はあまり俺を呼ばない。だから、時間がある日は勝手に俺が会いに行ってる。

「勉強はなにしてたん？」

「えっとね、数学が難しいから、数学やってたの。看護師さんに少し教えてもらいながら」

「看護師さんって、いつもいる野瀬さんってひと？」

「うん、そうだよ。良く知ってるね」と、彼女は言う。もうどのくらい通ってると思ってるんだと、思った。でも、自分でもわからなかった。思い出せないくらい、俺は彼女のことが、Aのことが好き。

「でも、最近はちょっと勉強サボってたから……仕方なくやったところもあるけど、」

「ええやん。ちょっとでもできるんやし。やろうと思うことが偉いと思うで」

「なに、かっこいいこと言ってるの」

「俺はいつでもかっこいいし！」

Aにかっこいいと言われて、内心めっちゃ嬉しかった。だから少し冗談交じりに自分かっこいいとか言っちゃった。そう言うと彼女はふふ、と笑って、「確かに、優はかっこいいね」と言う。言われたときは顔が熱くなった。

「Aは、冗談言いすぎやって」

「え？本当のことだよ？」

「え、？」

お互い無言になって、そして笑いあった。そして、こっそりと俺は思った。

どうかAが、これからも元気でいれますように、と。