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昼休み、いつも通り屋上に四人集まって昼ごはんを食べようと思っていたら、一人の同じクラスの女子に話しかけられた。
「坂田くん、ちょっといいかな？」
「あー……えっと、」
チラ、とうらさんたちを見ると行ってちゃんと言えという目で俺を見ていた。軽く頷いて、その女子のほうをむく。
「うん、ええよ。」
「よかった、ありがとう。」
一緒に来たのはひと気のない校舎裏だった。そこで俺たちは向き合った。この人は同じクラスの宮下さん。確かこの子のことをほかの男子がかわいいって言ったのを思い出した。
「坂田くんに、聞いてほしいことがあるの」
「うん、なに？」
「……坂田くんが好き。付き合って、ください」
ひゅ、と息を飲んだ。きっとこの子があの日ラブレターをくれたんだろうな、とそう悟った。
「……俺にラブレター書いてくれたんは、宮下さん？」
「そう、だよ」
熱の籠った瞳に、俺は耐えられなくて視線をそらした。俺が好きなのはAだけだ。それをちゃんと伝えないと、宮下さんには分かってもらえないし、宮下さんに期待を抱かせてしまう。
告白って言うのは、傷つくのは付き物だ。しょうがないこと。人に想いを伝えるって言うことはいいことだけど、相手が好きじゃないのなら傷ついてしまう。
「……ごめん。おれ、他に好きなこおるし、だから。」
俺からでた謝罪の言葉は、昨日Aと話したときのように、弱々しかった。
「宮下さんとは、付き合えない」
でもこの言葉だけは、はっきりと言った。宮下さんに、期待を抱かせてはいけないから。
「宮下さんには、もっといい人がおると思うで」
宮下さんは泣いていた。でも、ここで心配してしまったらだめだ。勘違いって言うのは、時に人を、自分自身を傷つけてしまう。こんな別れ際みたいな言葉、どうせ慰めにはならないのに。
でも、Aだけが、俺の好きな人やから。
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作者名：天音 | 作成日時：2022年12月14日 19時
