検索窓
今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:6,764 hit

ページ8

出来ることならば、夢でいいから彼女にまた会いたい。そう思いながら適当にメニューに目を通していると、彼女がよく好きだと言って食べていたオムライスが目に入る。「ふわとろでおいしいんだ〜」って言いながら美味しそうに食べていた。一口ねだってみてもくれなかったんだっけな。

「何笑ってるん?決めれないの?」

「俺が笑って悪いのかよ……てか決めたし」

「なににしたん?」

「オムライス……」

俺がそう言うと、目を見開いた坂田。いや、俺だって無意識で言っちゃったし。すると坂田が俺の持っていたメニュー表をひょいと取って、数ページ、ページをめくった後に、指をさしながら俺に見せてきた。

「ここにハンバーグあるのに?」

「え、あぁ、うん」

坂田は口を開けたまま固まった。しばらくしてハッとしたように動き出し、近くにいた店員さんに声をかけて坂田は注文していた。俺は食べ物がくるまでスマホをいじっていることにし、今日の夢について調べていた。目に入ったのは「過去に切り捨てた愛情や、抑え込んでいる愛情を意味する」と書いてあった。それが嘘か誠かはわからないけど、彼女に対しての愛情は抑え込んでしまっているのかもしれない。

「愛情ね……」

「……お墓参りは行ったん?」

「………まだ、行ってない。いや、行けてない」

「そっか」と悲しそうに言う坂田。坂田とAは仲が良かったから、坂田も彼女の死は傷つくところがあったのだろう。

「坂田は行ったの?」

「うん。だいぶ前にね」

次は俺が「そっか」という番だった。運ばれてきた料理に、気だるげにスプーンを取った。

・→←2.君との思い出。



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
51人がお気に入り
設定タグ:浦島坂田船 , 歌い手 , うらたぬき   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:天音 x他1人 | 作成日時:2022年11月26日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。