検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:6,763 hit

ページ24

「明晰夢……?」

「明晰夢はね、夢だと直感的にわかる夢のこと。「あ、今自分は夢を見てる」って、分かる夢のことね」

「うん、それで?」

「明晰夢の特徴は、なにかわかる?」

特徴、と俺は呟く。しばらく考え込んだけど、さっき彼女に言われた直感的に夢だとわかることくらいしか、俺には浮かばなかった。

「明晰夢は、何事も、自分の思い通りのことが起きるんだよ」

「私とわたるが、こうやって夢の中で今会えているのも、そのおかげ」

ひとしきり話し終わったところで、ここからが問題。と彼女は言う。彼女が口を開こうとするのを、俺は必死に止めた。

「じゃ、じゃあ。Aは今、Aってこと?俺の大好きな、Aなの?」

驚いたような素振りを見せる彼女は、うんと頷いた。それに、反射的に俺は、彼女を抱きしめる。もう離さないと言うくらいに。力強く抱きしめた。ぽちゃんと水の音が聞こえて、彼女が驚いたようで、手に握っていたやまだぬきを落としてしまったらしい。音までも、ちゃんと水なんだなと、のんきに思う。

「あのね、私とわたるがこうやって夢の中で会えるのは、今日が最後なの。」

「え、なんで、」

「時間、きちゃうの。」

彼女は着ていたワンピースのボタンを二つ外し、肩を出した。

「ちょ、なにして、」

胸元が見えるくらいまで、彼女は肩を出す。こっちみて、と言われて、しぶしぶ向いた。彼女の胸元辺りに、デジタル時計のような数字が、時刻を刻んでいた。「00:03」と書かれていて、残りが3分なのだということがわかる。

「この世界のカウントダウン。簡単に言えば、あと3分後にわたるは目を覚ますの」

「それがこの世界の終わり、私たちの最後だよ」と、悲しそうに彼女は言った。

6.夢の中で会いに来て。→←・



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
51人がお気に入り
設定タグ:浦島坂田船 , 歌い手 , うらたぬき   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:天音 x他1人 | 作成日時:2022年11月26日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。