・ ページ14
「あー、眠れねー」
ソファーに座って、部屋の天井をじっと見つめた。テレビなんてうるさいだけだから見たくもないし、こんな深夜に面白いのもやってないし。スマホはこれ以上彼女の写真を見ていると虚しくなってしまうし。数時間前に坂田からはOKというペンギンのスタンプが送られてきていた。純粋に、あいつこんなの使うんだと思った。
「……俺って結局、どうしたいんだろ。」
自分でもわからなかったけど、謎があるとするならばそこだった。彼女のことがどうとかいっているけど、結局意気地ないだけじゃないか。彼女のことを思っているのなら、彼女のためになることをしてあげるべきなのに。長い間付き合っていたくせに、墓参りにもいかずにただただ悔やんでいるだけなんて、情けないじゃないか。
(……Aは、どう思ってんのかな)
夢の中の"A"は、俺が創造した、元気な彼女の姿なのか、それとも。
考えたって分からないのに、なんでも理由をつけようとしてしまう。理不尽は仕方のないことで、だって、みんな自分の思っていることが正しいと思っているから。それを他人に曲げられてしまえば、理不尽というものは発生する。
「自分らしく」なんて、この世に理不尽が生まれ続ける限り、きっとそんな願いは叶わない。そして、人に心がある限り、理不尽は生まれ続ける。だから、人は人と上手く付き合っていかなければならない。時には他人を盾にし、時には人を上手いように使うのも、それもまた大事なんだ。
人のいう"誠実"とは、そういう意味なのではないかと思う。
51人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:天音 x他1人 | 作成日時:2022年11月26日 21時