ワンルーム・ラブ【usss】 (ページ5)

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「あなたたちは…っ」

口に人差し指を当て、彼は私が口を開こうとするのを阻止した。すらりと伸びた細い手は、本当に男の人の手なのか疑うほどだった。ここで黙ってしまったらまた“従順”とか言われるのだろうけど、身体は目の前の男を怖がっていた。私の口に当てられた指から、微かに血のにおいがした。

赤い髪の男の方をみると、勝手にクローゼットを物色されていた。別に下着なんかは別のところに閉まってあるから、気にしないのだけど、大事にしていた貰い物の洋服をベタベタ触られるのは気持ちが悪い。

「うわ、めっちゃ金になりそーなのあるやん！」

「やめろって、うらたんにまた叱られるで」

私の物がどんどん奪われていった。あの感覚をもう一度味わった気分になった。

「(嫌なこと思い出しちゃった、)」

ため息を吐くと、紫色の髪をした男が私の顔を覗いてきた。それにびっくりして後ずさろうとしても、腕を掴まれて逃げられなくなった。彼としばらく見つめ合っていると、彼は私から目を逸らすようにクローゼットを未だ物色し続けている彼らをみた。その隙に私は扉の開いたベランダを見た。

逃げれそうなときは、逃げよう。下は木が近くに植えてあるから、最悪そこに落ちよう。

『死ぬ』という道だけは絶対に選ばない。それだけは心のどこかでしっかりと刻まれていた。