ワンルーム・ラブ【usss】 (ページ1)

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1.鳥籠の姫君。ページ1

本の内容は、とてもつまらなかった。ありきたりなものばかりで、どこか腑に落ちない。少しほこりかぶってきた本棚をみて「そうじしなきゃな」なんて柄にもないことを思う。それも私は皇国の姫で、掃除とは全く持って無縁だ。掃除も料理も洗濯もなんでも従者が行う。私は飾り物のように黙って本を読むだけ。

部屋の中にはいつもひとり従者がいる。私の頼みを他の従者へと素早く伝えるため、私が逃げ出さないように見張っておくため。逃げることはそう簡単ではないことを、私は知っていた。

__例えば、私がこの部屋から逃げようと計画を立てたとする。

部屋の中にいる従者にお菓子を頼めば、その従者はお菓子を準備するため部屋を離れる。結果として私はひとりになる。そこから部屋のドアを開けでも、外側にもまたふたり従者という名の見張りが立っている。それにここは四階の部屋。飛び降りたところで死ぬ可能性のほうが高い。

この部屋から出ても死んでしまうのであれば意味がない。

「ここ、ほこりが溜まってきているから、掃除を頼める？」

従者にそう頼むと簡素に「わかりました」とだけ言い、隣の小さな個室から掃除道具を持ってきた。あれは……何かしら？棒の先にふわふわとしたものがくっついていて、本の表面を優しく叩いている。

この部屋には隠し扉があって、その先の小さな小部屋が従者の部屋となっている。別にその従者自体は嫌いなわけじゃない。ただ縛られ続けて入るのが気に入らない。

箱入り娘なんてそんな可愛いものじゃない。皇帝の_お父様の_お飾りでしかないのだ。

「はぁ、」

ため息を吐くことでさえ一人の時にしか出来ないのだから、とても息苦しい。