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「…え?」

思わず聞き返してしまった。


「…もしかして、Aちゃんも?」

レトくんからの問いに、力なく頷いた。


__女の子を見た日の夜から見る夢は自分が通ってる学校が舞台。

まちがいさがし。
レトくんも、昨日女の子を見た。
私もだ。

そして二人共、学校が舞台の夢をみている。
まさか。
ただのオカルト話じゃないのか。
けれど、夢にしては嫌に鮮明に思い出せる。
冷たい床の感触、隙間風、薄暗い教室、旧制服。


チャイムの後の、暗転。


「キヨ、もしかしてさ、キヨもさ」

「昨日、学校の夢、見た?」


聞かずにはいられなかった。

血の気が引いていくのがわかる。
俺は違うって言って。
学校の夢なんて見てない、って。
たまたまだって。

キヨは少し俯いた後、口を開いた。
私が、一番望んでいない答えを放つ為に。


「…俺もみた」


動揺からなのか、私の気のせいかわからないけど、キヨの瞳が少し揺れて。
嘘でしょとかなんとか言いたかったけれど、言葉を紡ぐ為の思考と余裕を置き去りにして、ただただ体を震わせることしかできなくなって。


もう私含め、3人が噂通りの夢をみている。

現実の学校と夢での学校の違いを見つけられなければ死ぬ。

そんなバカなこと、あるわけない。
あるわけないと思っているのにどうしようなんて考えてしまっている自分がいた。



「お通夜みたいな顔してどうしたの、Aちゃん」

「うわ、すんげえ静かじゃん。怖いんだけど」

「ガッチさん、うっしぃ…」


聞き慣れた優しい声と、低い声。

おう、おはよう。
おはよう、A。

その二つの声と朝の挨拶に少し安心したのも束の間。


「…にしてもこのやけに静かな感じから察するけど、みんなも見ちゃったんだね?学校の夢」



ガッチさんはそう言って、なんでもないように笑った。

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作者名:新寺 | 作成日時:2018年10月25日 2時

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