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「いやあ、まさか本当にみんな揃うとはねぇ」
ただの噂話じゃなかったんだね、と相変わらず飄々とした笑顔を浮かべるガッチさんに恐怖すら覚えた。
下手したら幽霊なんかよりよっぽどガッチさんの方が怖いのかもしれない。
私とキヨが合流してしばらくしてから、レトくん、うっしー、ガッチさんもこの教室にやって来て合流することができて。
みんな割と神妙な感じだったのに、ガッチさんのいつもと変わらぬ調子に良い意味で色々とぶち壊された感じだった。
「んでまあ、みんな揃ったわけだけどこれからどーすんべ」
「どうするってんなもん…1つしかないだろ、まちがいさがしする他に道なんか残されてねぇわけだし」
「うーわ怖ぁ、この学校の中歩き回るとかしんど〜…」
「まあレトさんは何を言っても連れて行くけど…Aはどうする?一緒に来る?それとも誰かと待ってる?」
ガッチさんが優しい声音で聞いてくれる。
私が女で怖いものが苦手だからというのを考えて、誰かと待つという選択肢を示してくれているんだろうけど、バラバラに別れてしまうのは危ないように思えた。
「…みんな一緒に動いた方がいいと思うし、みんなと一緒に行くよ」
「大丈夫?無理はしてないね?」
「みんな一緒だから、大丈夫。多分…」
私の最後の自信なさげな一言にすこし吹き出して笑うと、ガッチさんはみんなの方に向き直って咳払いをして、一言。
「全員で校内散策に決まり。みんなAに配慮しながら進む事。異議は無いね?」
「異議はねーけど…手がかりもねえし、あてもなく校内ぶらつくことになんね?」
「いい質問だね、うっしー。ついでに答えて貰いたいんだけど、学校の怪談の定番と言えば?」
ガッチさんから出された妙な問いにみんなの頭の上にはてなマークが浮かぶのが見えた。
唐突すぎる質問に、うっしーは困った表情でこちらを向く。
助けて、と言わんばかりに。
…ごめんね、私も良くわかんないよ。
「…トイレの花子さん?」
キヨがぼそり、答えた。
「正解。まあ詳しくは行きながら話すことにするよ。じゃあ、行こうか。三階の女子トイレ」
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作者名:新寺 | 作成日時:2018年10月25日 2時