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キヨバイト終わったら連絡して
A今終わった、どしたの?
キヨからLINEが入っていた。
現時刻は20:15。LINEは30分ほど前に入っている。
とりあえず、家の方に向かおうと歩き出すと、しばらくして電話がかかってきた。
キヨからだった。
『もしもし、今お前どこいんの?』
「えーっとね、タコ公園近くのコンビニんとこ」
『了解、行くわ』
「お、迎えにきてくれんの?」
『いっぱい玉ねぎ貰ったからおすそ分けしろって言われて持ってくついでだわ馬鹿』
「馬鹿とまで言う?まあ待ってるね、早く来てよ?」
『あいよ、待ってろ』
数十分後には、キヨは迎えにきてくれた。
颯爽と自転車で現れたものだから、おかしくて少し笑ってしまった。
「よ、待たせました」
「はっや、ちゃんと信号とか守った?」
私の質問に当たり前だろ、と言いながら服の胸元をつまんでパタパタと風を起こしている。
汗拭きな、とハンカチを渡せば素直に受け取って額の汗を拭っていた。
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「お前いつもこんな暗い道1人で歩いてんの」
「まあね、怖いから音楽聴いて早足で行くけど」
キヨは乗ってきた自転車を押しながら、歩調を合わせて歩いてくれる。
自転車のカゴではビニール袋に入ったたくさんの玉ねぎが段差を超えるたびにゴロンと揺れた。
「久々にタコ公園のあたりまで行ったわ、そういやちっちぇ時にタコ怖い〜!って泣いたことあったよな、お前」
「嫌なこと覚えてんね、なかなか悪質だよそれ」
「何年一緒にいると思ってんだよ」
「まあね」
言われてみると、小学校からずっと一緒なんて事はそうそうないよなあと改めて感じる。
いわゆる腐れ縁ってやつなんだろう。
「つかお前今日寝れんの?夜中に泣きながらLINEとかしてきそう」
ゔぇ〜、なんて大げさな泣き真似をしながらバカにしてくるキヨは、小学校のときから変わっていないように思えて、変わんないねキヨは、と笑ってみせた。
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作者名:新寺 | 作成日時:2018年10月25日 2時