烏.1 ページ4
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キュ、と体育館にバッシュ特有のスキール音が響く。
跳ねるボールを目で追いつつドリンクを飲んでいると突然視界いっぱいに真っ白なタオル生地が広がった。
「…誰ですかー?莉華さんー?」
「分かってるじゃん。」
ケラケラと笑いながら私に被さってるタオルが取られた。
さっきまで目で追っていたボールはどれだろうか。と、キョロキョロ辺りを見回すも見つけられるわけも無いので諦めて莉華さんを見上げる。
「そいや、明日から部活行くらしいじゃん。」
首もいたそうだねと笑うけど座っている私が立っている莉華さんを見るには結構な角度で見上げてるんだから仕方ない。
「痛そうだと思うのなら座ってくださいよ。それ、誰から聞いたんですか?確かに明日から部活行きますけど…。」
「秘密ー。どこの高校行ってるんだっけ?」
…司辺りが言ったのだろうか。行ってる高校、か。言ったことなかったっけ?
「秘密、ですよ。」
私の答えに不満そうな莉華さんをほっといてボトルを置く。思ってた以上に休憩してしまった…。コーチも睨んでるし。
さてと、練習に戻りますか。
「莉華さん、スパイク打ってくださいよ。」
幼馴染みの様に不敵に笑いながら莉華さんを振り替えるとニヤッとした笑みが返ってきた。
「言うじゃん。」
「もちろん。」
やっぱり練習するならエースのスパイクがいいよね。なんて生意気な口をたたかせていただきます。
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