烏.22 ページ25
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私と那月の仲でしょ?と言うと近くにいたから聞こえてしまったのかノヤに反応された。…まだいたのか。
「どういう仲なんだ!?」
「Aのせいで何か誤解されてねぇか…」
「…気のせいじゃない?」
目をそらすも私よりも身長が圧倒的に高い那月に手で頭をわしづかみにされる。痛くはないけどムカつく。私の頭はボールじゃない!
「名前で呼んでるとか、仲良いのか!?」
…あぁ、田中まで混じりだした。君らさっさと澤村先輩のとこ行きなよ見られてるよ。
「中学のチームメイトだから、仲はいいよ。名前で呼ばれているのは同じ苗字がチームにいたから。」
「…その説明の仕方。」
那月の短い言葉だけで何を聞かれているか分かるんだから結構仲がいいのだろう。まあ高校分かれてもこうやって話してるから仲はいいんだけど。
「時期が来たら、って考えてる。それで、記録。」
「…後でスマホに送る。」
流石に周りに3年生もいるから、と私の耳に顔を近づけて告げた那月によろしく、と返事をするとため息をつかれた。まあ他校のマネージャーに堂々と記録渡してるのもね、目付けられそうだしね。
北一では一番一緒にいる時間の長かった那月は未だに付き合いのある北一のメンバー。
「明日、楽しみにしてるから。」
「…試合に出てない俺に言うことでもねぇだろ、ソレ。」
俺に対する嫌味か?とジトッとした目で睨まれる。何だか今日は那月にこの短時間でよく睨まれる日だな。
「まさか、那月に嫌味なんて言わないよ。知ってるからね。」
努力してるの。とは言葉にしないけど、それでも通じたらしく頭を軽くなでられた。ボールの次は何扱いされてるんだろこれ。
「ほんと、お前と同じ高校がよかった…。」
抗議しようとする私の耳に入ってきた那月の珍しい弱音に何も言えなくなる。…珍しい。
「何かあったら話くらい聞くからいつでも連絡していいよ、那月。」
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