烏.17 ページ20
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俺のカッコいいトコちゃんと見とけよ。なんて言う二口に軽く返事をして別れてから、潔子先輩とドリンクを作って2階に上がろうとしたら、階段近くに青城がいた。
時計を見るともうすぐ試合で、青城を見たらほとんどの人が揃ってる。…そろそろ移動の時間か。
青城だ、及川だ、とざわめく中心へと足を進める。
あぁ…どうしてこんなことしてるんだろう。と自分でも分からずに青城のほうへと足を進めると聞こえてきた声の中に烏野のマネだ、という言葉があった。…何で知ってるのかと思ったけどジャージ着てるもんねそりゃ分かるわ。
「及川先輩、頑張ってくださいね。」
「…敵チームに塩なんか送っていいの?」
徹にかけた言葉に何人かの青城メンバーと目が合った。北一で一緒だった元チームメンバーたちに徹とお兄ちゃんがきっかけで知り合った人たちとよく考えれば結構知り合いばっかり。
「私、青城と烏野の試合まだ見たことないので。」
だから、見たいのだ。と暗に言ってみる。生意気?そんなこと百も承知している。
徹からの返事はいつもの勝気な顔で当たり前。あの顔をするってことは自信があるんだろうな、と幼馴染の顔なんて何が言いたいか分かってしまう。
それでは、と言いたいことも言い終わったし戻ろうとすれば後ろから声を投げかけられた。
「そっちこそ、そんなこと言ったからには伊達工に負けたりしたら、さっきの言葉でAのこと、からかうからね。」
「待ってます、Aさん。」
徹に続き、英くんからのエールに振り返らずに頷いた。勝手に言ってしまっただろうけど、きっと烏野は許してくれるはず。なんてポジティブに考えよう。…ていうか負けても私がからかわれるのって理不尽じゃない?私試合には出てないんだけど。
周りの人たちがあの及川が女子を呼び捨てにした、と騒がれていたのを知るのはまた後の話。
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