烏.12 ページ15
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一通り説明が終われば、ふぅん、と何やら含んだ返事。背中がぞくっとしたのは気のせいってことにしても許されるかな…。
「ノヤ君の方は、へぇ…
「Aちゃんってセッター好きだよねぇ。」
パンフレットを開きながら笑う乃亜さんについ体を反応させてしまう。…菅原先輩と飛雄くんの紹介だけ熱が入ってたかな。…無自覚なんだよなぁ。
いや、確かにセッター好きだけど。そもそも、スパイカーよりレシーバーとかセッター方が好きなんだからしょうがない。シャーペンをノックしては出しすぎた芯を戻すなんてことを繰り返す。ダメだ、話題を変えよう。
「明日も、来るんですか?」
「明日はー、司くんー。」
…えっ、と軽く声が漏れたのはきっと気のせい。早くも明日のことを考えて嫌になっていると、辺りがザワザワし出した。なんだかヤな予感。
「元気に王様やってるー?」
今、聞きたくない声が聞こえた気がする。お兄ちゃんと同じ高校に行った幼馴染みの声。…なんでわざわざここに来るの。シードでしょ?見に来るほどの魅力って何?飛雄くん?…それなら少しあるかもしれない。
ああでも、私がいない間に練習試合も組んだらしいしその辺も理由にあるのかな。せっかくだしその試合見たかったけど休んでたし仕方ない。
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