烏.8 ページ11
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人気の少ない、と言うか人気の無い場所まで移動して、周りを確認してから口を開いた。…人いないよね。
「司、」
「ンなに怒んなって、可愛いって言ったの本当のことなんだしよ。」
…どこまで本心から言っているのか分からない言葉を聞き流して本題に入る。こんなことを話してたらなかなか本題に入れない。
「いい加減、スマホ確認する癖つけてくれない?司がスマホ見ないから同じ学校の私が連絡係にされるんだけど…。」
何度言おうとスマホで確認しないから重要な連絡なんかは全て私から話さないといけない。
他にも同じ学校の人はいるけど、チームが違ってきちんと顔が分かっているわけでも無いから。と連絡係は専ら私の仕事になっている。司が既読をつけなければ私のところに追加に連絡が入るようになってしまった。
「めんどいからなー…。それに、どうせ我らがマネージャーが来てくれるからついな。」
ウインクをかましてくる司は無視。そもそも、好きでマネージャーやってるわけじゃない。私が一度だけ規則を破ったからその罰として司のところのマネをしているだけ。
「今日、弦月から1人高校生が上がってくる。ポジションはMB。名前は篠本くん。」
「しの、もと?聞いたことあるかな…。ま、良いか。それで?」
続きは聞かなくても分かるだろうにわざわざ聞いてくる辺り中々良い性格の持ち主だと思う。いつも新しい人が入ってきた時の連絡なんて変わりないのに。
「だから、今日は早めに集まれって。ま、私はいつも通り部活してからだけど。」
言わなきゃいけないことは全部言ったし、と教室に戻ろうと足を出すと毎回ありがとな。なんて言う声と共に頭に何か乗せられた。
手を伸ばすと手の中には自販機にあるレモンジュース。素直にこれは貰っておこう。こういう気遣いできるところはいいところなんだけどなぁ…。
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