本能寺の愛【Nasu.Y】

〜6〜彼女は何者？　那須side ページ6

那須side



　あの延暦寺焼き討ちから数日


　Aという女の子は


　覚えがいいのか


　女中の中でかなり


　使える奴だと


　武士たちの間でも


　噂になっている






　そして、あの時は暗くて


　よく見えなかったが


　かなりの美人だった






　そのため、俺は彼女を


　男どもから守るため


　信長様にお許しをもらい


　彼女の見習いの世話を


　することになった


　信長様も彼女のことは


　買っていて


　可愛がっている






『那須殿』






　透き通るような


　可愛らしい声に呼ばれた






『こんな夜分遅くに

　外に出ていたら

　風邪を引きますよ』


那「いえ、少し星を

　 見ていたかったもの

　 ですから」


『星ですか？』


那「ええ、ここから

　 見る星は綺麗ですよ」






　俺の住んでいた所は


　ビルばかりで


　静かに星を見ること


　なんてできなかった






『星か・・・そういえば

　最近見ていませんでした』






　彼女はここでの仕事を


　覚えるために


　ずっと勉強していた


　俺は、そんな彼女にも


　この星を見て欲しかった






那「こちらに来て

　 見た方が綺麗ですよ」


『いえ、女中が

　那須殿の隣で見るなんて』






　彼女はかなり謙虚だ


　だから、よそから来ても


　邪魔者扱いされなかった






那「私が一緒に見たいのです」


『わかりました・・・』






　押せばこうなることも


　知っている






『・・・行きたいよ

　君のところへ〜♪』


那「えっ」






　今、歌った？


　この時代に歌なんてあるの？


　っていうか聞いたこと


　あるような・・・






　あっ、大塚愛さんの


　プラネタリウムだ!!


　なんで彼女が知っているの？






　もしかしたら、彼女も


　この時代の人じゃ


　ないのかも・・・






　そんな疑問もあったけど


　俺は、どうして彼女が


　この歌を歌ったのが


　不思議だった






　この歌は


　プラネタリウムって


　いうくらいだから


　歌ってもおかしくないんだけど






　この歌って


　彼を想う彼女の歌だよね・・・






　Aさんにも


　そんな人がいるのかな？






　それをどこか


　残念がっている


　自分がいた






　このひとりぼっちの世界に


　一つの光が差し込んだ


　

〜7〜暴いてやります→←〜5〜女中になります

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す