【胡蝶の夢を見ゆ。】SDRA2 (ページ3)

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Prolog: TROPICAL EPISODE ページ3

海の音が聞こえる。
潮の香りがする。
いつもよりもずっとまぶしい太陽が、私を照らしている。

空ろ島。
超高校級が集められた、コロシアイの舞台。

ついに始まってしまった。
もう後戻りは出来ない。
計画のために、我々は人を殺す。
…能力が切れかかっているからか、昔よりもずっと迷うことが増えた。同時に、死にたくないという恐怖も増えた。
私は、もう誰かを失いたくない。それで後悔したくない。…たとえ、誰かを殺めようが、仲間を失うことよりはマシだ。だから。

…決意を固め、起き上がる。
そこは、海の上に建てられたコテージのような場所だった。
寝た場所とまるっきり違うのは違和感だが、状況を知っているだけマシな方なんだろう。
本来なら感じるはずの暑さも、聞いていた通りほとんどない。快適と言っていいだろう。
ここには確か…ホステスと宇宙人がいたか。
早く自己紹介を済ませて、序章を終わらせなければ。

「…おや？そこにいる方。大丈夫かい？」

特徴的な喋り方、見覚えのある髪、間違いない。超高校級の宇宙人、加賀鈴有理だ。

『つれなし。それよりも…ここはいづこなり？
たしか、入学式ありきべけれど。
(平気です。それよりも…ここはどこですか？
たしか、入学式があったはずですが。)』

加賀鈴「つれなし…平気ということだね。
ここがどこというのは僕にもわからないんだ。君と同じ状況だね。」

『といふことは、君も超高校級なりや？』

加賀鈴「ああ、僕は超高校級の宇宙人、加賀鈴有理だ。お嬢さんは？」

『…我が名は錮弔月下、超高校級の詩人なり。』

加賀鈴「なるほど。それで古文なんだね。」

事前知識通りに、話をあわせていく。
目が覚めたら突然ここにいた。私達は超高校級であり、希望ヶ峰学園の新入生。それ以上は何も知らない。
演技は真行路日ほどではないが、上手くやってみせる。

そこからの他愛ない会話はよく覚えていない。
というより興味がなかった。どうせこの人は死ぬことになる。そう思うと、仲良くする気が失せた。
そのあとは、他の超高校級に会った。彼と行動していたから、コミュニケーションに支障は出なかった。しかし、この喋り方をするなら、翻訳者が居なければ半数近くとは疎遠になるだろう。
…もっとも、それが私の目的だが。