1章:狼ゲーム17【調査パート】 ページ19
調/査/ス/タ/ー/ト
『まずは今ある情報を整理しましょう。』
私はメモ帳とシャーペンを取り出す。
知らないはずの情報を出したりしないように、ここは冷静に、ね。
今回の被害者は記者の高山マキさん。
·女性
·身長約160センチ
·記者という役職柄、恨みを買っていた可能性は高いが、絞り込みは不可能
·死亡時刻は2〜3時間前、深夜だったため発見が遅れた模様
·死因は不明…
ショウマ「いやいや、あんなに血が出てるんだから、死因は出血多量で決まりじゃねぇの?」
『いえ、傷口が見つかっていない以上そうとは言えない可能性も残っているんです。
…例えば、彼女を別の方法で殺したあとに傷口をつくり、血をわざと流させて死因を誤魔化している可能性も…』
死体を見てもまだ痛々しい。いろいろ原因はあるだろうけど、一番は顔かな。目が…
『目を閉じても良い…かな。あのままじゃ、死体を直視しづらくて。』
ショウマ「俺がやろうか?女の子に無理はさせねぇよ。」
『大丈夫です。…自分で出来ますから。』
…実はこれもわざとだ。
よし、上手くいってる。このまま…このまま…順調に進んでくれ…
アオリ「触らないほうが良いわよ。」
『!?
あ、アオリさん…大丈夫です。誰かがやらなくちゃいけないので。』
そういって私はマキさんの目をそっと閉じる。
そのときに"うっかり"たまっていた血に触れてしまった。
『きゃっ…』
思わず手を引っ込めるが、手にはべっとりと血が…血が…
…ついていない。めっちゃサラサラ。なんならほぼ水レベルだ。
ショウマ「大丈夫Aちゃん!?」
『…これ、本当に血…?』
そういって私は左手で血を掬う。はたから見てなくてもヤバい奴だ。
…やっぱり、血のはずなのに、手のシワが視認出来る。でも、いやな鉄の匂いはちゃんとする。
つまり、この血は物凄く薄められているのだ。
ユウト「な、何してんの…?」
『血の濃度を確認してるんだよ。
これは…かなり血が薄められている。本来ならこんなにも透明度は高くない。それに、触れた手に跡が残っていないのを見るあたり、死因は出血多量じゃない…?』
真相を知っているのにとぼけるのはツラいね。
マキさんの死因は絞殺による窒息死だ。でも、それをAさんは知らない。真実までみんなを誘導しないといけないな…いや、ユキナリ君が自力でたどり着くと思うけどさ。
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作者名:トランスウォランス | 作成日時:2023年10月2日 21時