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2章:哀悼を捧げる8 ページ9

ユキナリ「あ…」

『貴方が狼かどうか、僕は判断できない。そのカップの両方に毒が入っているかなんてわからないから。
…だから、黙っています。無実の羊を吊るしたくはない。
ユキナリ君は、まだ誰も殺していない。そうでしょう?』

ユキナリ「は、はい…でも、どうしたら…
俺はこんな場所にいたくない!でも、いつ出られるだなんて保証もないんです!次いつ狼になるかも…吊られるかもわからない。なら、いっそ…
…毒で苦しみなく死んだほうが…」


演技…なのか?わからない…
ユキナリ君ってやっぱり普通の皮を被った化け物でしょ。とっさに嘘も演技も出来るとか…デスゲーム系主人公は普通のフリした狂人しかいないのか?
いや、それよりもだ。今は目の前の問題を解決しなければいけない。


『僕は…犠牲は少ない方が良いと思います。だから、貴方に生きてほしい。
綺麗事とかではなく、人数が多い方がこのゲームでは有利なので。だから死なないでください。』

ユキナリ「け、結構ストレートに言いますね…。
でも、そう…ですね。犠牲は少ない方が…俺もそう思います。
お騒がせしました。」


あー…これは諦めてる顔ですね。
死を悟った瞬間の顔だ。私も何回か死にかけたことあるしわかるよ。
でもよかったね。今日が命日じゃなくなって。


『別に構いません。相談くらいはいつでものりますよ。
…お互い頑張りましょうね。』


…これから死ぬと思っている彼には、酷だっただろうか。
でも仕方がないんだ。Aさんはユキナリ君が狼であるかわからない。判断のしようがないと自分で言ったんだから。
ユキナリ君はそのまま会釈をして出ていった。
彼はもう殺人などしないだろう…と思う。ここまで全部演技だったらお手上げだね。
あ、でもアオリさんに、顔に出やすいとかなんとか言われてた気がするな。じゃあ大丈夫か。
グッパイユキナリ君。また外で会おうね。

さ、用事はすんだし、時間までリツさんに会いにいこう!
たしか…武器庫にタクヤさんと居た記憶があったな。探索中毎回のように推しの会話を聞きに大移動してたのは良い思い出。推しに話しかけることがキーで、ストーリー進んじゃってやり直したときもあったっけ。そんなことを考えながら廊下を歩くと、目的の人物と思わしき声が聞こえてきた。

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作者名:トランスウォランス | 作成日時:2023年10月15日 0時

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