ルート1-1 ページ13
咄嗟に一番近くにあった大部屋に入ると、予想通りミホさん·ショウマさん·チエさんがいた。よかった。
『た、助けてください！殺されたくない！』
思わず一番近くにいたショウマに泣きつく。
怖い！死が隣にあるってこんなに怖いんだ…
ショウマ「お、おい、どうしたんだAちゃん！」
ミホ「大丈夫、Aさん。ここには3人いるわ。殺される心配はないのよ。」
チエ「だ、大丈夫ですか？
こ、殺されるって…もしかして、狼に襲われたんじゃ…」
なぜか手足が震える。死にたくないと体が叫んでいるみたいに。立っていられない。思わず床にへたれこんでしまった。それでも、死が遠ざかったのが唯一の安心だ。
大丈夫。死んでない。ちゃんと息をしている。
落ち着いて、状況を早く説明しないと。
『あ、あの、お、狼が殺したげ、現、場を、目撃、し、て、しまっ、しまって。』
ミホ「その狼が誰だかわかる？」
脳は普通に動いていてよかった。しっかりと握っていたスマホを取り出す。大丈夫、撮れてるはずだ。
震えながらも渡したスマホは、ミホさんがちゃんと受け取ってくれた。
ショウマ「落ち着いて…現場ってことは、もう殺人は起きちまったってことだよな？」
ゆっくりと、私が聞きとれるようにはっきりと、目を見て話してくれる。
全身が震えながらも、ゆっくりと頷く。これが精一杯なんだ、ごめんなさい。
チエ「つ、つまり、Aさんは、狼が羊を殺したタイミングでたまたま居合わせてしまって、口封じされることを恐れてここに逃げてきたと…。」
頷く。正解だよ、チエさん。
ミホ「…」
ショウマ「とりあえず、早く死体を見つけよう。
全員が集まれば狼も殺せないだろうしな。」
『し、死体、は、死、体安置、室に、あ、ある、あります。』
チエ「は、早く行きましょう。…いったい誰が…殺されたんでしょうか…、」
三人はすぐに立ち上がれるのに、私だけは体が思うように動かない。…全身が震えて、正常に動かすことすら出来なくなってしまったのか。
ショウマ「なるほど、立てないのか…」
そう言い終えると、ショウマさんは少し考えたあとに私を抱き上げた。
いわゆるお姫様抱っこってやつ？まあ私はそんなこと一ミリも興味なかったし、この震えを止めるほうが先だ。
ミホ「ショウマさんとAさんは死体安置室に向かってちょうだい。私とチエさんで他の人を集めてくるわ。」
私たちはミホさんの指示に従い、先に死体安置室に向かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トランスウォランス | 作成日時：2023年10月15日 0時
