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「存在?」
「そこにいる様でいない」
おついちは訳が分からないといった表情をする。そのおついちを横目にAは窓の外をチラリと見る。丸い広場と花壇が四方にありその他は何も無い
「おついちはここで隠れててくださいね。その怪我じゃ回復も遅いでしょ?」
「あぁ...」
「..もう少し話していたいけど来ちゃったみたいなので行ってきますね」
悲しそうに笑うとAはドアに向かい歩き出す。その1歩手前で止まると深呼吸をし銃を握りしめゆっくりと開け外に出る
『あれ、お嬢さんだけなの?』
「そうですよ。この時代のおついちはどっかに置いてきました」
『酷いことするなぁ』
「足でまといなので」
『ふぅん。お嬢さん何か嘘言ってるでしょ?』
「っ!」
『どの発言が本当で嘘かなんて事までは分かんないけどね。嘘ついてることは分かるんだよ』
「凄いですね。でも、動かすのは口じゃないですよ」
Aは手に持っていた銃で"おついち"を撃つ。彼は右へ回避すると同時にAに発砲する。それを回避したAは花壇の裏へ隠れ狙い撃つ
その光景を見ていたおついちは歯痒そうに顔をしかめた。今のAじゃ勝てない、分かっているのにこんな体では満足に戦えない。
「くそっ!このままじゃあいつが!」
拳を床に叩きつける。頭をフル回転させ策を考えていると発砲音が消えてることに気づいた。窓からバレないように外を見るが誰もいない。すると、離れた場所から発砲音が鳴り響く。位置的に海の方面へ向かっている
「何で開けた場所なんかに..」
するとおついちの端末に着信が入った
「もしもし?」
[おついちさん!?無事なの!?]
「弟者か?」
[そうだよ!街の人が騒いでたから事情を聞いたんだ!Aは?一緒なの!?]
「一緒って訳じゃねぇけど無事だぞ」
[一緒じゃないの!?]
「あぁ。変なやつに追いかけられててな。弟者、事務所から海は見えるか?」
[え?屋根に上がれば見えるけど]
「兄者にライフル持って見張っとけって言っておいて。多分Aは海の方に行ったと思うから」
[何でライフルが必要なの?]
「敵がいるから。Aが危なくなった時だけ狙撃して」
要件だけ言うと電話を切り立ち上がる。まだ体のあちこちは痛いが足に力を入れ空き家を出、走り出す。大切な人を助けるために
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作者名:美月葵 | 作成日時:2018年5月2日 17時