ひきこもりでも異世界冒険がしたい！【歌い手】

奴 ページ6

(そらるside)

レジの物陰に誰か隠れている。俺が入ってくるのに気付いて慌てて隠れたようだ。今もがさごそと大きな物音を立て、本当に隠れているのかすら定かではない。


よっぽど間抜けな奴なのだろう。食べかけ(きっと未払い)のおにぎりが、放り出されたままだった。


一連の事件の黒幕か、俺たちのように巻き込まれた一般人か。


どちらにしろ、億劫でも正体を突き止めるべきだろう。

しかしこんな状況想定していなかったから武器なんて持っていなかった。


相手が襲いかかってきたらどうしよう。

自慢じゃないが、俺は生粋のひきこもりはんぺん肌のもやし腕だ。空手も柔道も黒帯だが、あくまでもそれは習い事の範疇。ガチの戦闘などゲーム以外で経験したことはない。


ぐぅー

悩んでいたら腹の虫が鳴いた。どうでもいいから早く食料を確保して食えということか。

全く仕方のないお腹だ。


俺は腹の虫の言う通り、悩まず正面から勝負を挑むことにした。


商品棚から手近な菓子パンやおにぎりを取ってレジの方へ向かう。店員を探している無害な人間を装うことにした。

商品をレジの横に置き、

そら「店員さーん、」


ときょろきょろすると、

??「そらるさん??????」


そいつは情けない声を出して、

??「良かったぁああああああ！！！！」


泣きながら飛び出してきた。



◀◀◀
"燃やす心と瞳の持ち主さえ、雨ゆえにその炎を消さん"

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