ひきこもりでも異世界冒険がしたい！【歌い手】

腹の虫 ページ4

(そらるside)

通知が来ないのはただのツイッターのバグだと思っていたから、まふまふからの説明には少し驚いた。


ただでさえ高い上に、焦っていたのか掠れていた彼の声は聞き取りづらく、わかったのは、


"なんか変"ということだけ。


きっと8.2割方は理解出来ていない。


さらに言えば俺達どちらもが動くことが全く危険でないと断言できる訳でも無い。


それでも集まろうと提案したのは、幼い声とは裏腹に、いつだって冷静な相方の姿を知っていたからだろう。


決して図太いという訳でも無いくせにいつでも気丈に振る舞う相方の心が揺れる時。

俺はいつだかの彼の姿を思い出す。


儚げで危なげで、光の灯らない、何も映らない虚ろな目。


俺はそれが嫌いだ。


だから、活動者同士の喧嘩やら何もかも中立地帯、何故だか安全な気がする"歌い手ハウス"に集まることにした。


そして結構重く考えてる割にそらる、既に遅刻しそうなんです。

さっきちょっとかっこよく電話切った手前、遅れるべきじゃないよなぁ…


幸い歌い手ハウスは自宅から徒歩圏内だから、めちゃめちゃに遅れることは無さそうだけど、遅刻には変わりない。

というわけでそらるは走っている。メロス並に。


息を切らせながら改めて街を見ると、都会だというのに車の1台も走っていなかった。
まふまふの言う通り、おかしなことが起こっているのだ。

あまりに静かな夜に故郷を思い出しすと、


ぐぅー


お腹が鳴った。


そら「雰囲気ぶち壊しじゃん」


と自分の仕方の無いお腹に嫌味を言う。

見栄っ張りな相方より、俺のお腹の虫の方が我儘である。こればかりは彼も承知している筈だ。遅刻してもゆるしてくれるだろう。


そう自分を納得させてから、目に入ったファミマに入った。


看板だけで、緑がイメージカラーのうらたくんや歌詞太郎さん、ファミマとコラボしていたすとぷり、だっけ、あんまり話したことないけど、思い出した。

安否のわからない彼らに、胸がきゅっとなる。



ぐーきゅるるるる

俺の物憂いも知らないお腹が鳴るのと同時に


レジに、何かがいるのに気が付いた。

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