【文スト】助手なんていらないんじゃ…

＊17＊ ページ18

貴「………」
乱「………」


静寂。


貴「乱歩さん」
乱「なんだい、A」

貴「暇、ですね」

乱「そうだねぇ…」


静寂。


なんだろう、この状況は…


探偵社の皆が事件やら出張やら休みやらで出払っており、社には私と乱歩さんだけが取り残された。
しかも仕事も何もない。至って平和であり、非常に暇だ。


乱「賢治くんともこういう会話をしたことがあるよ」

貴「へぇ、乱歩さんと賢治くん…なんだか珍しい組み合わせですね」

細くさらりとした金髪から、太陽のように覗く賢治くんの溌剌とした笑顔を想像する。

そのきらきらした笑顔と乱歩さんのふてぶてしい笑顔、そして更に笑顔を見ることの多い太宰さんの顔が頭の中に並んだ。ろくな事にならなそうな面子がにこにこしている中に、眉間に皺を寄せた国木田さんが飛んできてガミガミ言い、にこにこのまま賢治くんと太宰さんがどこかに逃げ、乱歩さんはそのまま駄菓子を貪り始める。ふふ、皆らしくて面白い。


乱「…ちょっと、何にやにやしてるの」

貴「いえ、賢治くんの笑顔は楽しいですね」

乱「うん…？まぁ、そうだね」

愉快な想像をしてにやついている私を尻目に、乱歩さんが机上の最後の駄菓子を口に放り込んだ。

買い出しに行くのも時間の問題かな。乱歩さんは動きたくなさそうな顔してるけど。


貴「買い出し、行ってきましょうか」

乱「んー…いや、いいよ」

おや、珍しい。もう駄菓子の気分では無いのだろうか。


乱「それより僕、試してみたいことがあるんだ」

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