89話 ページ10
降谷side
ここはどこだ？
ひらり。
目の前を横切るように落ちてきたのは桜だった。
「……桜？」
前を見ると桜が満開だった。
「……キレイだ。」
"ﾆｬｰﾝ"
「猫谷さん？」
桜の下にいたのは記憶違いじゃなければ猫谷さんだった。
"ﾆｬｵ"
そう言って振り返ったその瞳。
初めて会った時のようにその瞳はエメラルドのように輝いており、なんとも言えない魅力を持っている。
その瞳。
間違えなく……っ
「猫谷さん！」
待ってくれ。なんでいなくなっちゃったんだよ。
ヒロは……、俺は、寂しいよ。
帰ってこいよ。また偉そうに寝ててくれよ。
"全く君は寂しがり屋だね"
え？
その顔には妙に既視感があって。
「君は……」
君は……
「…何だこの夢。」
昨日大尉という三毛猫を見たせいか猫谷さんを追いかける夢を見てしまったようだ。
「最後……何が……」
"全く君は寂しがり屋だ"
それを言った人を俺は知ってる気がする。
上手く言葉に言えないけれど。
……この人物は猫谷さんと関係があるのか？
ふとその考えがよぎってしまった。
昔ヒロと喋っていた猫谷さんの秘密があるんじゃないかという考え。
「……この夢がただの夢じゃないといいがな。」
🐾🐾🐾🐾
『もしもし？蘭ちゃん？どうかしたの？何かあった？』
「いえ、園子……友達が今度ミステリートレインっていう列車にのせてくれるんですけどチケットが余ってるみたいでAさんもどうですか？」
ミステリートレイン！？何それ面白そうな名前！
『いついつ？』
私は急いでスケジュールアプリを開く。
「えっと___なんですけど。」
『非番……じゃなかった授業がないから行けるよ。やったね。蘭ちゃん誘ってくれてありがとう！』
「行けそうで良かったです。じゃあまた！」
蘭ちゃんがいい人すぎるよ。
楽しみだなぁ。
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作者名：チョコミントティラミス | 作成日時：2023年8月16日 16時
