120話 ページ41
安室透side
二条さんの姪であるAさんは不思議な人だ。
まるでずっと前から知っていたような。
そんな感覚を覚える。
そんなことを感じながら走行する。
そんな事を思ってるうちにAさんに指定されたデパートについた。
____春とはいえニットだけでは寒いだろうな。
ふとそう思った。
先程子供に貸していたはずだ。まだ外にいるのならこの時間寒いだろう。
それに俺はこの後家に帰って仕事するつもりだ。
ならこの着てるジャケット貸すべきだ。
「まだまだ寒いので着たらいいと思いますよ。」
ジャケットをかけてやるとAさんは驚いたような顔した。
意外だというように。
"安室透"ならやりかねないと思うのだが。
『安室さんはいいの?』
「僕も体温は高い方ですので。」
そうAさんと同じ言い訳を使うとAさんは可笑しそうに笑った。
『そっか。ありがとう、安室さん。』
ここまでしといて何だがやはり恥ずかしい。
Aさんは笑いつつもジャケットに袖を通し、車を出た。
そして覗き込むように屈み、Aさんは手を振った。
『じゃあまたね、安室さん。』
俺も返事をしようとしたその時あるものが目に入った。
____サングラスに隠れた瞳が。
少しうす暗いにも関わらずその瞳はギラギラと光っており、吸い込まれそうな感覚に襲われる。
この感覚は懐かしい。
まるで、
そうまるで
猫谷さんの瞳を見た時のように________
「待っ…」
そう声が出た時にはもうAさんはいなくて。
なんなんだ。
彼女は何者なんだ。
ありえないとは分かってるが、どうしてもAさんが猫谷さんに関係してるんじゃないかと思ってしまう俺だった。
310人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チョコミントティラミス | 作成日時:2023年8月16日 16時