114話 ページ35
「あ、貴方は……」
『叔父さんただいまぁ〜』
「…おかえりA。」
すまんアキフミ。
聞いてないぞという顔するのやめてくれ。
内心冷や汗ダラダラで家に入ろうとする。
『あれ?安室さんお知り合いですか?^^』
「い、いえ。(妙に頭が回るかと思ったらこの人の血縁者だったのか…。)では僕はこれで。」
『ここまでありがとう。安室サン。』
「僕からもお礼を言わせてもらうよ。」
「いえ。僕がしたかっただけですので。(二条さんの血縁者とは驚いたな…)」
そう言ってレイは帰って行った。
🐾🐾🐾🐾
『フッ、まだまだだねレイ……!』
「……こうも早く姪の特権を使われるとは思わなかったですよ。」
『私もこんなに早く使うとは思わなかったよ。』
それに私も考え無しにアキフミのところに来たわけじゃない。
レイは身内には甘ちゃんだ。
つまりかつての上司の姪となれば信じるだろう。
『これが完全犯罪……!』
「何言ってんですか。ほらお茶ぐらいは出しますから入ってください。」
『ありがとうアキフミ。』
なんやかんやアキフミにお世話になっちゃってる。
「それにしても彼羨ましいですよ。」
『なんで?』
「こんなにも早く探していた猫が帰ってくるのですから。」
コポコポ……と注がれたのはコーヒー。
……そういえば生粋のコーヒー好きだったな。
久しぶりにアキフミが入れるコーヒーにどこかホッとしてしまう。
でもさっきお茶って言ってたじゃん…。
『……いやね。組織にそろそろ私も首突っ込もうと思ってね。まだ当分レイにもヒロにも明かすつもりはないよ。』
「そうですか。でも組織は最初彼らに任せると言ってたじゃないですか。どういう風の吹き回しなんです?」
『……レイさ、私になんて言ったと思う?』
私はアキフミに返事をせず言った。
「なんて言ったんです?」
私はコーヒーの水面に浮かぶ自分を嘲笑うように言った。
『まるで全てを見透かすように動いてるって。』
アキフミの顔を見ると酷く狼狽えたような酷く懐かしむような色んな感情を混ぜた顔をしていた。
"猫谷さんアンタはまるで全てを見透かすように動いてるよな。アンタ____"
"猫じゃないだろ"
それはもう遠い記憶。
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作者名:チョコミントティラミス | 作成日時:2023年8月16日 16時