111話 ページ32
「あってますよねAさーん!」
『正解ですよ毛利さん。』
私の出番無くなったようなものなんだけど……。
「じゃあ、合鍵はどこにあるのよ!?」
「鍵!かかってただろ!石栗の部屋!」
「そ、それは多分、そのうちどこかで見つかる…」
あ、これは私が変わった方がいいな(察し)
「……!そうだ琴音さんが飲んでいたスポーツドリンク、やはりあの中に鍵を…」
「ムリムリ!あたしもあのドリンク飲ませてもらったけど、ほとんど凍ってて、中身がなかなか出てこなかったんだから」
「じゃあ、凍らせる前に鍵をいれていたとか…」
「だったら、ペットボトルの底から透けて見えてると思います。鍵は重いので」
「だったらさ、鍵を入れたとたんに凍っちゃうような、魔法の水があればできるかもね」
ナイスヒントだよコナンくん。
「ばーか!そんな漫画みたいな水があるわけが――」
「ありますよ。過冷却水。…ですよね?Aさん。」
『ええ。』
なんかムカつくなレイ。譲ってやりますスタンスやめて欲しいね。
『まず過冷却水とは水が凍るはずの凝固点、0度以下になっても氷にならずに、液体のままでいられる水の事です。振動などの刺激を与えると、急速に凍り始めるんです。ちなみに作り方は、均一に冷えるようにペットボトルをタオルで巻いて、マイナス5度くらいの冷凍庫に4、5時間寝かせるだけ、と簡単でしょう?振動を与えると、ペットボトルの表面に沿って、上のほうから凍り始めます。おそらく桃園さんは、過冷却になったスポーツドリンクの中に鍵を入れて、それを園子ちゃんに飲ませたんだろうね。』
あってるよね?という視線を桃園さんに向けた。
袋の鼠、って所かな。
『それにスポーツドリンクって濃い色がついてるし、ジェル状に凍るから中身なんて見えるわけないんだよね。』
「じゃあ、そのスポーツドリンクを溶かせば…」
『出てきちゃうね。』
血痕入りの鍵が。
「そ、そんなの出てきてから言いなさいよ!」
「出てこなかったら、あんたら___」
「だめよ」
激昂する友人二人を止めたのは、桃園さんだった。
「出てきちゃうから。私の指紋がばっちりついてる合鍵がね。しかも私、焦ってその鍵、石栗くんの血の上に落としちゃったし」
ああー言っちゃった。
血のついた合鍵入りのスポーツドリンクなんて飲みたくないはずなのに……。
ご愁傷さま園子ちゃん。
こうして事件は幕を閉じようとしていた。
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作者名:チョコミントティラミス | 作成日時:2023年8月16日 16時