81話 ページ2
「なんだ、そういうことか…。どうしても理解できないことがあったんだけど、その態度でよく分かったよ。このかるたについてる指紋って、阿知波さんのじゃないよね?」
「いや、私や!私の指紋に間違いない!」
阿知波会長は少しだけ声を荒らげた。
まるで真実を隠すように。
コナンに続いて口を開いたのは服部だった。
「確かに、今回起きた一連の事件はあんたと海江田の仕業や。…けど、全ての発端となった5年前の名頃さん殺しは、あんたやない!」
「_____皐月さんだよね」
まるで阿知波会長を射抜くようなコナンくんの声に、はっと目を見開いた阿知波会長は軽く目を伏せると話し出した。
…5年前のあの日、阿知波会長が帰ると皐月が名頃の返り血を浴びて立ちすくんでいたこと。
その光景を見て、すぐに名頃が皐月に勝負を挑み…彼女はその勝負に負けたことを悟ったということ。
ぽつりぽつりと阿知波会長は説明し始めた。
「____読手には私が保管していたカセットを使うたんや。この意味が分かるかね?」
そう静かに言う阿知波会長の頬に涙が伝う。
そう圧倒的に皐月が有利な状況での勝負だった。
なのに…、彼女は敗れてしまった。
「…名頃の実力は私たちの予想をはるかに超えとった。皐月の感じた恐怖はどれほどやったろう。翌日の試合で屈辱的な大敗をするのは確実やった」
力が抜けるように階段に座り込んで下を向く彼は息を吐き出すように喋る。
「その恐怖が、彼女を犯行に走らせてしもうた…」
皐月はそれ以来、人としての感情を失って皐月会からの運営も遠ざかり…その2年後に病期で亡くなってしまった。
____そう、阿知波会長は言った。
「これが真実だ…、なぁ、分かってくれ」
そう告げると共に、阿知波会長が着物の袖から出したのは起爆スイッチと思われるものだった。
「やめるんや!!」
「あの男が皐月を辱めなければこんなことには…」
「______辱めたくなかったから!!前の日に名頃先生は行ったんやと思いますけど…!」
紅葉は真っ直ぐに阿知波会長をみて言った。
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作者名:チョコミントティラミス | 作成日時:2023年8月16日 16時