# 37 ページ42
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* 主side *
「(あ、歩きにくい...!)」
僕の両横には目を擦りながら歩く先輩2人が。
歩きにくいというか少し恥ずかしいが勝っている気がする。
さっきまでタクシーはお店を出てすぐにあるって思ってたのに、2人のスピードに合わせて歩くとめちゃくちゃ遠く感じる。
まぁ寮には遅くなるって連絡してあるし、特に急ぐ事もないから問題ないけどね。
「おわっ! 哲人さん、大丈夫ですか!」
「...んー。」
少し目を離したら、案の定足を引っ掛けて転ぶ哲人さん。
幸いにも僕がすぐに反応したから怪我は無いと思うけど、声を掛けても殆ど反応無しだから心配になる。
「ふあぁ。 A、悪いけど哲人のこと背負ってやって。」
「あ、はい、分かりました。」
いつの間にか酔いが覚めている勇人さんに言われ、背負おうと思ったけれど今日リュックで来ていたの忘れてた。
哲人さんには申し訳ないけど横抱きで運ばせてもらいますね。
現役の選手だからまぁまぁ重いけど、トレーニングの一環だと思えばなんてことないかも。
「...哲人さん、もうすぐタクシーの前に着きますよー?」
「...いやや。」
「え。」
もうタクシーに乗せますよってところで駄々をこねる哲人さん。
勇人さんも呆れたようにしてるが、先程まで悩みを聞いていたから仕方ないかとため息をついている。
「...まだ行かんで。」
「...A、しばらくそのままで平気? タクシーに少し待ってもらうように言ってくるから。」
「はい、大丈夫です。」
勇人さんは僕にそう言うと、車の方へ事情を説明しに行った。
道の傍に座れるような場所があったので、哲人さんと2人で座り駄々をこねる理由を聞いてみる。
聞けば予想通り、先程勇人さんに相談してた内容。
でも、今シーズンの成績は悪いわけでもないから心配する必要はなさそうなんだけどなぁ。
毎試合ヒットを量産すれば球団もファンもその選手に期待するのは当然のことで、哲人さんも分かっていたはずだけど、今回はそれが足を引っ張っているのだと思う。
「...だから大丈夫です。 哲人さんなら打てます。」
「はは、せやな。 練習あるのみやな。」
勇人さんもアドバイスしていたけど、僕なりに哲人さんに励ましの言葉をかければ安心したように笑ってくれた。
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(...僕の試合では打たせませんけど。)
(今度は打ってやるから。)
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さや - 柊樺さん» 楽しみにしてますが、あまり無理をしないで下さいね♪ (2019年3月14日 15時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» やっぱり甲子園は何かありますよね! 小話かなにかで主人公の高校時代の話を書けたらなんて思ってます! (2019年3月12日 17時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - 柊樺さん» やっぱり、あの試合でしたか! 甲子園の魔物を実感した試合でした。「勝って涙の中京大中京、負けて笑顔の日本文理」名言だと思いました。日本文理の投手は忘れましたが、中京大中京のエースは堂林さん。優勝決定時は外野手してましたが、彼はエースでした。 (2019年3月12日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» コメントありがとうございます! その試合を参考に話作ってみました、さすがです!笑 リクエストなどあれば気軽に送ってください! (2019年3月11日 22時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - おはようございます。たまたま読んで、ハマってしまいました(笑) 主人公の高校時代の一戦は、日本文理VS中京大中京の決勝を思い浮かべながら読んでしまいました(時期は少し違いますけどね)。 (2019年3月11日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊樺 | 作成日時:2019年2月22日 13時