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2011年 夏
ある高校の主将による感動の選手宣誓によって、第93回全国高等学校野球選手権大会の幕が上がった。
この大会で最も注目を集めた試合は、準決勝の試合。2番手の投手が会場で観戦している人たちを興奮させたのである。
* 主side *
《 1アウト満塁で、おおーっと!! これは、まさかの、満塁ホームランです!!
2回の表、さらに4点突き放され、これで10対0! 》
《 これはプロの選手でも精神的に辛い展開ですよ。
しかもこれまでの試合で殆ど点を取られていない選手ですからね…。監督はピッチャー代えますかね?》
「........... 」
僕の仲間が投げたボールが、相手選手が打ったボールが高々と飛んで行き、頭の上を通過していくのを僕は無言で見送った。
気を取り直して前を向くと、監督がピッチャーの彼と話をしていた。二人の視線が右翼で守備についていた僕に向けられ、僕はピッチャーマウンドまで駆け寄った。
「A、いけるか?」
「...はいっ!!」
僕の返事と同時に先発の彼を中心に内野手が周りを囲んだ。
「...わるい、点めっちゃ取られた。」
小さく呟いたその言葉に対して誰も何も言わなかった。
しかし集まった選手は全員諦めた表情をしておらず、寧ろ笑っている様に見えた。これを見て、ああこれなら行けると直感的に感じた。
「気にすんな、ここからは僕が抑えるから、
みんなは点を取り返すことだけ考えて」
僕はそう言って彼の胸にグラブを当てた。
「...ふぅー。」
ピッチャーマウンドで小さく深呼吸をして、相手選手を見た。
彼に対して調子乗って大口を叩いたものの、勢いはどう考えても相手に対して追い風。
...やっぱり点を取り返すだけ考えてて、なんて言わなきゃ良かったかな? 流石に『内野手』だけは動いてもらおうかな。
こんなことを考えながら僕は最初の球をキャッチャーに向けて投げた。
《 **高校、勝利への執念で7回までに1点差まで追いつきました!!》
《 **高校、3年生の水瀬A! 9回の表まで無失点の好投です!!
しかも一塁を相手選手に踏ませません! これで10対9で9回の裏に行きます。
9回の裏、彼らはどのような攻撃を見せてくれるのでしょうか!》
《 **高校、最後のバッターはボールを打ち上げてしまいアウト!
10対9で試合終了です!! 決勝に進むのは......》
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さや - 柊樺さん» 楽しみにしてますが、あまり無理をしないで下さいね♪ (2019年3月14日 15時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» やっぱり甲子園は何かありますよね! 小話かなにかで主人公の高校時代の話を書けたらなんて思ってます! (2019年3月12日 17時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - 柊樺さん» やっぱり、あの試合でしたか! 甲子園の魔物を実感した試合でした。「勝って涙の中京大中京、負けて笑顔の日本文理」名言だと思いました。日本文理の投手は忘れましたが、中京大中京のエースは堂林さん。優勝決定時は外野手してましたが、彼はエースでした。 (2019年3月12日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» コメントありがとうございます! その試合を参考に話作ってみました、さすがです!笑 リクエストなどあれば気軽に送ってください! (2019年3月11日 22時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - おはようございます。たまたま読んで、ハマってしまいました(笑) 主人公の高校時代の一戦は、日本文理VS中京大中京の決勝を思い浮かべながら読んでしまいました(時期は少し違いますけどね)。 (2019年3月11日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊樺 | 作成日時:2019年2月22日 13時