【wrwrd】騎士と愛【zm】 (ページ3)

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忠誠.3 ページ3

近場の森へと逃げ込み身を隠す

｢ゲホッ…結構拙いな｣

背中からの出血が止まらない
羽織っているローブを脱ぎきつく巻く

治療も上手く出来ていないし急いで戻らないといけない
けれどこの怪我で動けるかと聞かれれば答えは否だ

｢くっそ…やらかした｣

あの男との戦いに集中し過ぎた
お陰でこのザマだ

頭の中に周辺の地理関係を浮かべる

この森には…いやけれど今も居るかは…
ずきずきと痛む傷に顔を顰め思考を打ち切る

居たら儲けものと考えておこう

口に指を当て指笛で甲高い音を鳴らす

森に音が響く

時間にすればたかが数分

けれど長く感じる時間が経った

ガサッ

音の方へ意識を傾ける
そこに居たのは番の狼だった

｢ガルル…｣

息を吐く

｢良かった…お前だったか｣

｢グルル…｣

身体をこちらへ擦り寄せる

｢暖かいなぁ

こいつのことよろしく頼むな｣

もう1匹に優しく話しかける

｢グル｣

｢呼び立てたのは頼みがあってな
これをあいつらに持っていってほしい

臭いを辿れば着くはずだ
詫びと言ってもこれしかなくてな済まない｣

携帯食の干し肉を差し出しながらそう言った
ここの動物達は賢い
この狼は尚更…いつの間にか伴侶を手に入れてたみたいだが

差し出した手を鼻で押し返される

｢いらないってことか？
だけどこっちが申し訳ない貰ってくれ｣

負けじと押し返し2匹に食べさせる
その後2匹は互いに唸り始めた
会話でもしているのだろうか

数分の後見知った狼が先程差し出した紙を持って歩き出した

｢お前は行かないのか？｣

｢ガル!｣

そうだと言いたげに1つ唸り声を返し身体を擦りつけてくる
まるで休めと言われているようだった

｢そうか…助かる
ありがとうな休ませてもらう｣

ゆるりと頭をひと撫でし木に寄りかかった

ほんの少しでも休めば幾らかマシになるはずだ
そう考えながら微睡みに身体を委ねた