Kiss26 ページ26
.
「 Aちゃん 、大丈夫？」
『 私は大丈夫だけど … 』
「 吃驚だったね 」
倒れてしまった飛貴を那須くんと何とか
飛貴の家まで連れてベッドに寝かせた 。
苦しそうに顔を歪めながら寝ている飛貴 。
「 にしてもこの部屋 … 」
『 酷いね 』
ぐちゃぐちゃに荒れた飛貴の部屋 、
まるで泥棒が入ったみたい
「 これ 、浮所がやったのかな 」
『 多分 … 』
「 … そっか 」
汗が見えてきた飛貴の顔を
タオルで拭くと少しだけ飛貴の口が動いた 。
「 …… ちゃ … 」
「 え？浮所 、何か言ってるよね 」
『 うん …… 』
何を言ってるのかわからなくて飛貴の顔に
顔を近づけて何を言ってるのか聞いてみる 。
「 すぅ …… 」
『 完全に寝てる 』
「 寝言か 」
顔を離してまた汗を掻いた飛貴の顔を拭く 。
こうしてどれくらい時間が経ったんだろう 、
時計はもう18時を指していた 。
「 Aちゃん 、俺は帰るね 」
『 じゃあ私も … 』
「 Aちゃんはもう少し居てあげてよ 」
鞄を持った那須くん 。
「 浮所が起きて誰もいないのは可哀想でしょ 」
『 …… うん 』
「 それじゃあ 」
部屋を出る那須くんを見送って
寝ている飛貴の前にまた座った 。
いつから飛貴はこんな苦しい顔を
するようになったんだろう 。
『 飛貴 …… 傷つけてごめん 』
苦しそうなその寝顔に謝り 、
また飛貴の汗を拭く 。
「 … んぅ？」
ちょんちょんとタオルが触れるその感覚に
違和感を覚えたのか飛貴がゆっくりと目を覚ました
「 A …… ん … 」
お昼に買って飲まずに鞄に入れていたお茶の
ペットボトルを飛貴に手渡す 。
『 ぬるいけど飲んで 』
「 … ありがとう 」
すこし怠そうに起き上がった飛貴は
静かに私からお茶を受け取ってゴクリと飲んだ 。
会話のないこの空間 、
何を話していいのかもわからなくて 。
『 私 、帰るね … 』
気まずさに耐えきれずに
鞄を手にすると掴まれる腕 。
「 待ってよ … 」
.
「 待ってよ 、Aちゃん …… 」
『 飛 、貴 … 』
飛貴の声に反射的に少し後ろに下がった私の体 。
だけど 、掴まれる腕が強く引かれ …
もう二度と触れることのないと思っていた
飛貴の唇が私の唇に触れた 。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1795人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひゅーら(プロフ) - 1番好きだったお話が終わって寂しいです（ ; ; ）お疲れ様でした！ (2018年8月8日 16時) (
レス) id: aa8eeb01f9 (このIDを非表示/違反報告)
こりん - 少し激しめのキスシーンも読みたかったです！プラスで書いていただきたいくらい^ ^ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 552a5d5abc (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃか(プロフ) - 長い間お疲れさまでした。スゴい面白かったです!! (2018年7月31日 17時) (レス) id: 6bb2b8ab02 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - とても素敵できゅんきゅんするお話をありがとうございます！次の更新がとても待ち遠しいです。ひだかくんがどうなるのかとってもどきどきしてます！ (2018年7月6日 16時) (レス) id: 016839428c (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 一気読みしました！おもしろいです！ 幸せになってほしいなー！ (2018年7月3日 7時) (レス) id: 3f1cd80dfa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みるるん
| 作成日時：2018年4月5日 12時
