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潤side
雅紀が、すんごい勢いで帰ってきた。
潤「雅紀、どうしたの？」
何かあったのかな。そんなに急ぐほど。
雅「午後、カンファレンスだったんだって！」
潤「うん。そうだよ？」
雅「潤ちゃん知ってたの？」
潤「え？うん。」
え？なに？
雅「もー、なんで教えてくんなかったの？」
潤「え？何を？カンファレンスあることを？」
雅「そうだよ！さっき、翔ちゃんに凄い睨まれたんだから！資料できてんのかー？って！」
潤「え？雅紀、資料出来てんじゃないの？昨日の夜作ってたじゃん。」
雅「え？…そうだよね！俺、昨日作ってたよね？」
潤「うん。作ってたじゃん。え？覚えてないの？」
雅「そうだよね！もー、翔ちゃん、俺がいつもやってないみたいな言い方してさ！確認してこいよって言ったの！」
潤「あ、じゃあそれを確認しに来たんだ。」
雅「うん！俺、ちょー焦ってたから。」
潤「ふふっ。そうなんだ。でも、一応確認しといた方がいいかもしれないよ？」
雅「えっ！潤ちゃんまでそういうこと言うの？」
潤「違う、違う。どっかまちがえてるとこあったらいけないでしょ？それを、確認しといた方がいいよって言ったの。」
雅「あ、そっち？」
潤「うん。？」
他に何があるの？
雅「潤ちゃん、まちがえてるとこ何も無かった！大丈夫だった！」
潤「それは良かったね。ねぇ、午後のカンファレンスさ、俺も出た方がいい？」
一応、呼ばれてはいるけど、出た方がいいのかな？
雅「潤ちゃんはどうしたい？」
潤「俺…？」
雅「うん。」
雅紀は察してくれた。
本当は、俺はこの件に関わっちゃいけない。
だって、今回の患者さん、大翔の弟だもん。
あの時、大翔の命を救えなかったのは、俺の責任でもあるんだから。
でも、シゲにはまだ言えない。
きっと、“あの人”と同じようになるんだ。
俺は、それが怖くて、シゲに伝えることが出来ない。
俺は、ただの弱い臆病者だ。
潤「俺は…誰か1人でも、出なくてもいいって言ってくれてるなら、今回は出たくない。」
雅「それが、潤ちゃんの本音？」
潤「…うん。」
あぁ、また逃げたんだ。
現実って、怖いんだよね。
雅「潤ちゃんが出たくないって思ってるなら、今回は出なくていいよ！」
潤「…え？いいの？」
雅「うん！大丈夫！俺からみんなに言っとく！」
また、雅紀に迷惑かけるんだ。
あの時と同じように。
あの時も、誰かに迷惑掛けたんだ。
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作者名：馬渕 響 | 作成日時：2020年1月17日 0時
