HiHi Jets の女のコ . (ページ31)

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心配ページ31

_ryuto side_

「………遅くね？A」

もう既に時計は、レッスンが始まってから1時間が経とうとしていた。

「学校の用事だっけ？」

「うん。なんか係の仕事だって。
すぐ終わる簡単な仕事って言ってた」

心配だけど、今は仕事中。

今日は後半から偉い先生が来るのもあり
探しに行くのは困難な話だった。

「でもここまで遅れるなら流石に連絡くらい入れるはずだよなぁ」

Aが居ないからかみんな何となく練習する気にはなれず、
部屋には時計の秒針が刻む音だけが流れる。

「…なんか、あったのかな」

ひとつだけ空いた椅子が目につく。

5人も集まっているのにあまりに静かすぎるこの空間では、次々と嫌な予感が想像出来てしまう。

「……俺、絶対間違えた。
あそこで引き下がるべきじゃなかった」

時間の経過と共に後悔が募っていく。

「でもまだそうと決まったわけじゃ、」

フォローの言葉も耳に入らず、
どんどん焦る思いが酷くなる一方。

今俺はどうすればいいのか、ごちゃごちゃした頭で考えても何もわからなかった。

「＿＿…よし」

重い空気の中、声を上げたのは優斗だった。

「みんなで探しに行くぞ」

「……え、でも」

「仕事とA、どっちが大事かなんて
言わなくても分かるだろ」

優斗は少しの迷いもなくそう言い切った。

「ここでうだうだ心配するより、探しに行った方が早いだろ。
それにもしAに何かあって後悔したんじゃ、遅い」

そこにいつものいじられキャラの姿は一切無く、
ちゃんと最年長だなと実感させられる。

「はしもっちゃんはここで待ってて、みんなで行ってAと行き違いになったら大変だから。

ガリさんはAの行きそうな場所をお願い。
あとそれからAの家に電話してみて。

学校周辺はみずっくん。あそこら辺詳しいでしょ？」

冷静に皆に指示を出すその姿はまさにリーダーで、かっこいいと、純粋に思った。

「さくちゃんは、俺と一緒に学校を探そう。
同じ高校のやつ居ねぇと入れないし」

「……うん、」

「…んな顔すんなって。
お前のせいな訳ねぇだろ」

そう言って頭をがしがしと撫でられる。

大丈夫、心配するな。

手のひらのあたたかさがそう物語っていた。

「(…ああ、これは敵わないなぁ。)」

少し熱くなった目尻を擦って誤魔化す。

…今は、Aの無事だけを祈ろう。

「＿＿お前ら、ぜってぇAを見つけるぞ」