きっかけ ページ28
「準備終わりました……ってなにしてる、の…」
いつの間にか帰ってきたAが、俺らを見た瞬間に血相を変えた。
「っ!!」
焦ったように荷物をしゃがんで隠し、俯いたA。
掛けていい言葉が見つからなかった。
「………バレちゃった、よね」
なんて言ったらいいのか、
頭の中でグルグルと思考を巡らせるが、無駄だった。
「…あはは、ごめんね!嫌なもの見させちゃって!」
しばらくして放たれたそのセリフは、
この場に似つかわしくない程、不気味に明るくて。
「(なんで……なんで、笑えるんだよ…)」
いつものように笑う姿が、苦しかった。
「ごめんね、今まで迷惑ばっかかけて。
でも安心して!もうちゃんと振りは完璧にしたからら!
さ、練習しよっか__」
くるりと背を向けた彼女の腕を強く握った。
それはあまりにも細くて、細くて。
いつも長袖で、そんなことも分からなかった。
……もう、夏なのにな。
「なぁ、これ、どういうこと」
「……ごめん」
「なんで、今まで黙ってた」
「………ごめん」
「何でっ、なんで俺らに頼んなかったんだよ?!」
「っ優斗!」
ごめんしか言わないAの胸ぐらを掴む。
なんで、…なんで!!
「俺らがそんなに頼りないか…?!」
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美紀 - 瑞稀君と優斗君寄りのオール担当です最高です (2019年8月24日 20時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:透夏 | 作成日時:2019年3月15日 2時