HiHi Jets の女のコ . (ページ3)

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日常ページ3

まだ朝早いと言うのにレッスン場には
重いローラーの音と熱気が広がっていた。

「失礼しまーす…って、A」

「あ、みずっくん！」

眠そうに欠伸をひとつ零しながらドアを開けた井上瑞稀に、その少女は笑顔で挨拶をする。

少年もまた、仲間のひとりだ。

「どうしたの。今日平日でしょ、学校は？」

「うん。今日ね、なんかよく分かんないけど高校休み」

「分かんないの？」

「分かんない！」

呆れる井上にあははと笑い駆け寄る。

「…でも…久しぶりに二人きりになれた」

いつもはさくちゃんと一緒だったから

そっぽを向きながらそう言う彼の頬は少し紅い

が、

「？うん、そうだね？」

まあ学校一緒だから平日は一緒に来るよね

と意味を理解していなさそうに無邪気に笑う少女。

「…はぁ…本当馬鹿」

「え？！いきなり悪口？！」

壁にもたれる井上にわたわたと慌てる少女。

馬鹿と罵られるも、それが微塵も本気ではないことは百も承知。
こうやってふざけ合えるのは付き合いが長いからそこだろう。

「…ま、朝早くお疲れ」

「ちょ、やめっボッサボサなる！！」

タオルで少女の頭を少し雑にぐしゃぐしゃとする。

少女にはタオルで見えていないが、彼はとても優しく笑っていた。

また少女も口ではそう言いながらも満更でも無さそうだ。

しばらくすると、再びレッスン場の扉が開いた。

「＿はよーざいまーす」

「はしもっちゃん！おはよー！」

「おはよ」

「A、瑞稀。はよ」

金髪の若干チャラい彼は、橋本涼。

口元の黒マスクを下にずらすと、見た目にはそぐわない無邪気な笑顔が見える。

「A、髪ぼさぼさじゃん」

「そうなのー！これ、みずっくんにやられた」

「汗拭いてなかったのが悪いね。風邪ひくだろ」

「ツンデレだ」

「ツンデレだね」

「うるせ！」

いつもはいじる側の帝王様も、
少女のことになればいじられることもしばしば。

そんな井上と多分何も理解していないであろうAの絡みを見ると、なんだか自分が親になった気分になる橋本であった。

「ほら、Aおいで」

おいでと言いつつ、それじゃあ来ないのは分かっているので半ば強引に腕を引き寄せる。

「わっ」

「女のコなんだから、可愛くしましょーね」

そう言って髪の毛をなおしてくれる橋本。

「まぁ、何してもAは可愛いけど」

そう言って優しく微笑む彼にはいつも振り回されてばっかりの仁科だった。