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ズズッと麺を啜る音で目を覚ます。
ここ、どこ、?!
あ、そうだ、俺、助けられた女の人におんぶされてて、そのまま寝ちゃったんだ。
起き上がろうとすると、クラッとする頭に負けてもう一度後ろに倒れてしまう。
痛む頬を触ると、丁寧にガーゼがされていた。
でもここは、家ではないよな、、、小屋、、???
俺は麺を啜る丸まった背中に話しかけた。
『あの、わざわざすみませんほんとに、ありがとうございます、、、』
弱々しい声をかけると、チラッと振り向く彼女。
「あ、起きた??」
まって、なんか見たことある、え、まって、もしかして、、
『え、A、さん、、?』
と聞くと驚いた顔をして俺の顔を凝視する。
「え、あ、井上、だっけ、、」
コク、と小さく頷く。
え、でも、ほんとに、A、さん、、??
クラスで見る彼女は大人しくて黒髪で、
でも実は綺麗な顔してるからクラスのうるさい男子が
あいつ可愛いよなって話してるのを耳にしたことがある。
そのAさんが、、?!
「、、もうバレたならいいや、私、こーゆー人だから、ごめん、」
『えっ、、なんで謝るの、?』
「怖いでしょ?騙してごめんってこと。」
『俺は、そんなこと、思ってないけど、』
「え?」
『こんな、おんぶしてくれて、手当てしてくれて、助けてくれて、、、
命の恩人って言っても過言ではないよ。』
「、、、」
『誰にも言わないし、嫌ったりもしない。』
「あんた、優しいね、心が広いってゆーか、、」
『やさしいのはAさんだよ。』
「私が、?」
『え、うん、』
「人助けしただけだし、あんたの優しいのハードル低すぎでしょ笑」
『え、ほんと、?笑』
誰かと話したり笑いあったりするのが久しぶりで、また涙を流しそうになるけど必死に耐える。
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作者名:有栖 | 作成日時:2020年11月4日 22時