優麗 ２ ページ34
ー「……おかあ、さ……おとうさ……？」
今でも覚えてる。学校に電話がかかって来て。駆けつけたときには、もう遅かった。霊安室に並ぶ、二つの体。顔には真っ白な布がかけられていた。
�盒桐ヅ諭⊂�学三年生。車で買い物に行った両親は、二度と家には戻ることはなかった。
「嫌だ、嘘だ、嫌だよ、嘘だ！！」
病院に響き渡る、叫び声。看護師が、苦しそうな表情で俺を止めた。だっておかしいじゃんか。生きてたのに。昨日だって、夕飯にハンバーグ食べたのに。
朝、「行ってらっしゃい」って。笑顔で送ってくれたのに。もういないだなんて。何でだよ。ふざけんな。ふざけんな。
悪い夢を、見てるのだと思った。とんでもない悪夢なのだと、思った。でも、翌日目が覚めると。
「優斗、おはよう。今日は一人で起きられたんだね」
微笑むお母さんも、コーヒーをすするお父さんも、いなくて。
起きてすぐに。おばあちゃんの家で泣きじゃくった。神様なんていない。仏だっていない。もう、何も、何も信じない。
亡くなってから数日後、お葬式が行われ。俺はおばあちゃん家に住むことになった。幸い、家が近かったから転校などはなかった。
もぬけの殻と化した俺。忌引で学校を休んだ後、死んだ顔で教室へ向かった。すると。
「優斗、おはよ。アンタのプリントとか、全部ロッカーしまっといたから。
わからなかったら私に聞きなさい」
いきなり組まれた肩。いつもと変わらない態度で接してきたのが。
桜ノ宮Aだった。
小学三年ながらにして、Aの名前は全学年に広まっていた。なぜなら、桜ノ宮グループの「超」がつくお嬢様だからだ。
そのお嬢様は、なぜか公立の小学校へ入学した(私立へ行きたくなかっただとか)。たまたま家が近いこともあり、俺らは一年生のころからの友達だった。
よく公園の砂場で遊んだり、時には家にだって呼んでもらった。持ち物、服、言動。全てが俺らとは違う。そして八歳ながらにして、強気な口調と勝気な態度から、Aは友達が少なかった。てか、俺しかいなかった。
「……ありがとう」
普通に接してくれる、Aがいてくれて良かった。心から、そう思った。
その日の帰り道。いきなりAのポケットで震えた携帯電話。
「ママ？どうしたの？……間違えただけね、はーい」
俺はもう。こんな会話すら、お母さんと出来ないんだ。ふと、滝のように込み上げた悲しさ。
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ミント(プロフ) - どのお話もとても素敵で、短編なのに引き込まれる世界観が大好きでした！おつかれさまでした！ (2019年1月14日 15時) (
レス) id: e20fb3d910 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - 私の大好きなマジョマリがまた読めるなんて感激です（ ｉ _ ｉ ）楽しみです！頑張ってください！ (2019年1月1日 2時) (レス) id: f9588c4e4d (このIDを非表示/違反報告)
真優(プロフ) - ゆうぴのお話で、ゆうぴが一個上の先輩で、主人公が後輩の関係で直接会うとあまり話せないけどラインとかだと話せるみたいな仲でクリスマスに後輩が告白する的なものが読みたいです！ (2018年12月24日 2時) (レス) id: f8f4960291 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - お忙しい中お返事ありがとうございます(TT)！わぁ、そうだったんですね…！どれも素敵なお話だったので残念で寂しいですが、お返事頂けて嬉しかったです！これからも楽しみに読ませて頂きます☆ (2018年11月22日 22時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
れなさん(プロフ) - りんさん» りんさんはじめまして！いつもありがとうございます(*^^*)実はDeuxの方削除してしまいました……。もし好きな作品だったら本当に申し訳ないです(；_；) (2018年11月21日 19時) (レス) id: c72a49e4f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れなさん
| 作者ホームページ：れなちゃん(@pinky_lovers98)さんをチェックしよう https://twitter.com/pinky_t17?s=...
作成日時：2018年5月25日 17時
